近くて遠い《2》 (ページ33)

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しばらく車を走らせると着いたのは海だった。

初めて隼人くんから私への気持ちを告げられた場所だ。

『海だ！』

西島「ブランケットいる？」

『んーん！平気～！』

車を降りて、私より少し先を歩く隼人くん。

さっきからずーっとソワソワしてる隼人くんを何だか驚かせたくなって後ろからギュッと抱きついてみた。

西島「うおっ！びっくりしたぁ。笑」

『なんか変だよ？何考え事してるの？』

西島「ん？ごめんごめん、何でもないよ」

『…話してくれないんだ』

西島「ほんっと何でもない」

『ふーん。』

西島「どうしたの？急に。

Aちゃんからこんな事してくるなんて珍しい」

『何となく抱きつきたくなったから』

西島「ハハッ、よしよし。」

『…隼人くん、ありがとね？』

西島「ん？何が？」

『長野さんのこと。

本当に何とかしてくれて』

西島「当たり前でしょ？約束したんだから」

『大魔王に

"長野さん辞めさせないなら俺が辞めます！"

って言ったんでしょ？』

西島「あーっ、咲良ちゃんに聞いたの？恥ずかしいなぁ」

『心強いです、ありがと』

西島「ずっとこの体制じゃ疲れるでしょ？座ろ？」

『ん。』

隼人くんから離れて、並んで座った。

西島「ここ、覚えてる？」

『もちろん。

ピアノのコンサートに連れてってもらって

隠れスポットがあるんだ～ってここに連れてきてくれて

私のことが好きなんですって、初めて隼人くんの気持ち聞いた場所』

西島「そこまで詳しく話されるとなんか照れるね」

『ふふっ』

西島「俺、ちょっとは頑張れてる？」

『んー？何をー？』

近くに落ちていた枝で砂浜に絵を描きながら隼人くんの話を聞く。

西島「少しは俺に気持ち向いてもらえてるのかな？って」

その言葉を聞いて、絵を描く手を止めた。

今日、私は隼人くんに今の気持ちを伝えようって思ってた。

今がタイミングかな？

『……あのね？隼人くん』

西島「ちょっ！ストップ！」

『えっ？』

意を決して今の想いをぶつけようと口を開くと、それを遮られた。

西島「俺、Aちゃんに話さないといけないことがある」

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