近くて遠い《2》 (ページ13)

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P.60～kotaki side～ページ13

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小瀧「ほら、水飲み？」

『ありがと～』

ベッドに座らせたAの前にしゃがみ、水を渡す。

小瀧「こないなるまでどこで飲んできてん」

『今日は会社の親睦会があって～』

小瀧「親睦会？」

『という名の大魔王による部下自慢大会！』

小瀧「なんやそれ。笑」

『でもすっごいつまんないから咲良ちゃんが抜け出そ～って言ってくれて

2人で飲み直して～』

小瀧「この有様か」

『その通り！

……でも楽しかったなぁ。

久々に女友達とあんなに笑った』

小瀧「……」

『全部話せたわけじゃないけど、相談にも乗ってもらえたし

すっごい楽しい飲み会でしたー！』

小瀧「そ、よかったな。」

『望はー？最近忙しい？』

小瀧「コンサートも決まったし

ドラマも決まったから大忙しや。

…あ、次のコンサート観に来るんやろ？

しげ喜んどったで？

やっと行くって言わせたったわー！って」

『……』

反応がなくてパッと顔を上げると座りながら寝てしまっていたA。

小瀧「ったく、自分が聞いてきたくせに寝んなや。」

寝てるAに軽くデコピンすると一瞬ビクッとしたが、再び寝息を立てた。

小瀧「ほんま手のかかるやつやな。

……俺がおらんでもちゃんとやっとるんやろか。」

七瀬とバッタリ会って以来ろくに話をしてない。

一回しげに誘われて3人で飲んだ時も結局最後はあんな事になってしまって…。

昔っから、こっちから聞いてやらんと悩み事とか肝心な事は自分から言わん性格のA。

幸い、顔に出やすいAは顔合わせただけで悩んでることあんなぁって分かって

その度に偶然装って側におった。

この間、マンションの下でバッタリあった時も、いかにも悩んでますみたいな顔しとったから

なんかあったら相談しいや？って言うたのに

何もないよってわざとらしく笑って。

アホやな、何年一緒におると思うてんねん。

無理してることくらい分かるわ。

けど、俺も俺でそれ以上は突っ込めへんくて。

………やって、出来たんやろ？彼氏。

都会にしては珍しく星が綺麗やったあの日の夜。

ベランダに出たら丁度隣で誰かと電話しとって

内容聞いてたら、あー彼氏かなって思うた。

なんでやろな。

素直におめでとうって喜んであげられへんこの気持ちは。

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