継いで【オリジナル】

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――首都消滅から十日。
Aの今いる場所は、髭面の男の居住地。≪帰らずの森≫を抜けた先にある、高い岩山─アルゴータ山─の中腹辺りだ。髭面の男は鉱山人―ドワーフ―という種族。名をガランと言う。

ガランが森の中へ入った理由は、彼の居住地である岩山にも、首都消滅時に発生した爆発音と地震が響いたからだった。岩山から首都を確認したところ、街が無かった。

何があったのかわからなかった彼だが、居ても立ってもいられず、家を飛び出したんだそうだ。そして森へと足を入れたら、偶然彼女を見つけたと。

この居住地にはガランの他にもう一人。彼の妻であるバレッタ。怪我している彼女を気に掛け、手当て等をしてくれたのだ。そのお陰で、彼女の足の怪我は完治していた。

だが十日経った今でも、首都の消滅理由は彼女しか知らない。“何かがあった”ことはガラン達も勘付いている。だが無理に聞こうとはしない。彼女が自分から話してくれるまではと。

バレッタは、彼女用に部屋を用意してくれた。一人の方が落ち着くだろうという配慮だ。ガラン達の優しさに気付きながらも、彼女は部屋に閉じ籠る。犯してしまった罪を心に閉じ込め、相も変わらずお役目をこなす。

彼女が違和感に気付いたのはこの時だった。朝からお役目をこなす彼女。バレッタが「食事を持ってきた」と声を掛けるまで、時間の感覚がわからない。脇見も振らずお役目をしている。それは夜も同じこと。ふと疲れを感じた時には、闇夜が晴れ朝日が登っているところだったり。

一日目は今までの環境と違うからだと。三日目はまだ慣れていないからだと。だが一週間、十日と過ぎていけば、おかしいことがわかる。

彼女の違和感。それは……、“空腹を感じない”と“眠くならない”だった＿＿。

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