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痛みに耐えながら足を動かし続ける。すると大きな雄叫びが森中に響き渡った。

「っ!?復活した!急げ!」
『は、はい!』

森の中を走り回るが相手は獣。足も速いし、鼻も効く。彼女から流れる血の匂いを追い、先回りするように目の前に現れた。

彼女目掛けて飛び掛かる狼。彼女を庇おうと、男は前に出る。彼女は本能的に、この男がどうなるのかわかったのだろう。

『だめぇぇ!!』

大声を上げながら、男を後ろから抱き締めるように飛び付く。すると彼女から発せられた魔力の衝撃波が、狼に襲い掛かった。狼は衝撃波に吹き飛ばされ、木に叩き付けられ地面に落下。呻き声を上げながら、ふらふらと立ち上がり、そのまま森の中へと姿を消した。

魔獣が消えて行ったのを見た彼女は、息を吐きながらずるずるとその場に崩れ落ちてしまう。

「おい!?大丈夫か!?」
『はい……安心したら力が抜けました』

その言葉を聞いた男は、目を見開いたかと思えば豪快に笑い出した。

「がはははっ!度胸が有るのか無いのか、わからんお嬢さんだな。……だがお前さんのお陰で助かった。ありがとう」

最初に彼女を助けたのは男の方だ。彼が放った石礫が少しでも遅ければ、彼女はもうこの世に居なかった。それは彼女自身もわかっている。頭を下げて、お礼の言葉を彼に告げた。

頭を中々上げない彼女に、その男は「ならお互い様と言うことで、手を打つのはどうだ?」と提案する。その言葉に顔を上げた彼女の表情は、驚きを露にしていたが、男の柔らかい表情を見て笑顔で頷いた。

「もう大丈夫だとは思うが、念のため移動するぞ」

そう言って歩き出そうとした男に、彼女は言いづらそうに言葉を掛ける。

『あ、あの……』
「なんじゃ?」
『……足に力が入らなくて』

彼女の言葉に辺りに沈黙が訪れた。彼女の言ったことを直訳すれば『腰が抜けた』ということ。それを理解した男は再度笑い出す。

恥ずかしくなった彼女は、顔を赤くしながら両手で顔を覆う。一通り笑った男は、地に手を付けて言葉を紡ぐ。すると地面が盛り上がり、形を為していった。

出来上がったのは、石人形―ゴーレム―だ。男はゴーレムに命令して彼女を背負わせ、その森の中を出口に向かって歩き出した____。

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設定タグ:女主人公 , ファンタジー , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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雪丗(プロフ) - キキさん» こちらにまで来て頂き、ありがとうございます。こちらの小説更新はカメさん以下の速度になるかと思いますが、少しずつ更新していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年1月24日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - チェシャ猫が好きすぎて、こちらにも遊びに来たのですが…こっちもすごく面白いです!トレントの場面、ドキドキしました!どのキャラクターも皆、素敵ですね♪ファンタジーの不思議さやカッコよさがとても伝わってきます。無理なさらない範囲で、がんばってください! (2019年1月23日 22時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 雪丗さん» アドバイスありがとうございました!参考になりました! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 如月 唯奈さん» アドバイスが出来るかはわかりませんが、小説を読まさせて頂きます。読み終わりましたら、如月様の小説の方へコメント致します。少々お時間下さいませ。 (2018年12月12日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 私もファンタジーのオリジナル小説を書いているのですが、表現が上手くできません……何かアドバイスくださいっ! (2018年12月11日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年11月22日 0時

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