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3/10 帰り道で ページ6




どうしよう………逃げてきちゃった。



若武の家から少し離れた所で気付いた。みんなから逃げてきてしまった事に。



ああ、やってしまった。どうしよう……。



「アーヤ。」

「黒木君………」



後ろから来ていたのは黒木君。走ってきたみたいで少し息が上がっていた。



「急に出ていちゃうから心配でね。送ってくよ。」

「えっ、いいよ。まだ明るいし。」

「俺が送りたいの。それとも、何かいけない理由でも?」



そういうわけじゃないけど………でも、これ以上誤解を招くわけにはいかない。



「それじゃあ………」



お願いします。そう言って頭を下げた。



ほんの少し、黒木君が嬉しそうな表情を見せた気がする。







何か聞かれるかも知れない、そう覚悟していたけど何も聞かれなかった。



お互い、特に言葉を交わす訳でもなくただ、道を歩いていた。



「わざわざありがとう。それと、今日は本当にごめんね。」

「おきになさらず。またね、アーヤ。」



うん、本当にありがとう。



「あら、お帰り。」

「ただいま。」



家に帰ると、手洗いとうがいをして自分の部屋に向かった。



まだ半分ほどしか終わっていない準備を今日中に終わらせなければならない。



「よし!」



軽く頬を叩くと気合いを入れ、カバンに向き合った。



あの日まで残り1日___

 

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くらげ - こういう若い人たちが見ているサイトでこういったことをなさってすごいと思います (2022年12月20日 18時) (レス) @page13 id: c446d0bf5d (このIDを非表示/違反報告)
凛花 - 若武良いこと言うなぁ。感動しました。あの時の地震の怖さは忘れてならないと思いました (2020年7月7日 0時) (レス) id: e8c0aaebea (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 私の両親の実家はどちらも東北にあるのですが、東日本大震災の時は仕事の都合上、関東に住んでいました。毎年見る、沿岸部の景色はどんどん変わっています。宮城県にある、荒浜小学校という小学校をご存知でしょうか?ぜひ、行ってみてください。長文失礼しました。 (2020年4月22日 16時) (レス) id: b3e83051c6 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ寄り虹色 - 私は関東に住んでいました。今は北陸に住んでいます。2011年の3月3日、震災の起こる少し前に引っ越して、親戚が被害に合い私の家族だけが無事でした。本当に人生ってどこでどうなるか分からないな、と思います。この作品で勇気が出た気がします。 (2020年3月12日 14時) (レス) id: 83bceea410 (このIDを非表示/違反報告)
桃菜(プロフ) - 更新とても楽しみにしています。 (2020年3月10日 17時) (レス) id: ab659cd945 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤咲彩葵 | 作成日時:2019年3月9日 15時

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