【gnsn】気弱なメイドちゃん！ (ページ5)

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｢どうしたら…勇気を持てますか…？｣

そう気付いた時には問いかけていた。

声は震えているけれど、確かにそこには、私の＂気持ち＂があった。

｢私、今日も返せなかったんです。…おはよう…頑張ろうねって。それどころかびっくりしちゃって…箒を落としてしまったりして…。｣

皆の背中を必死に追っても追っても追い付けない日々で、その度に心の中で大丈夫だって言い聞かせるように呟いて。

｢どうしたら…変われますか。｣

赤い瞳をじっと見つめていると、ディルック様は少し口元を緩ませながらこう答えた。

｢君なりのペースでといった手前、課題を付けるのは釈然としないんだが、そうだな。…自分から声をかけてみるのはどうだ。まずは挨拶だけでも良い。｣

ディルック様の肩にいた鷹がまるで応援しているとでも言うように私へと擦り寄ってきて、吸い寄せられるように手を伸ばす。

若干フサフサとした毛並みを優しく撫でつつ思う。

先程は届かなかったけれど、今はちゃんと届いてこうして触れている。

それがとても嬉しくて、私も心做しか頬が緩んだ気がした。

｢帰ってきて早々悪いが僕は今日の夜にはここを発つ。今度帰って来る時までに次の課題を考えておこう。｣

ディルック様が動き出すとそれを合図にしたかのように鷹も並んで飛んでいく。

____…私の中でゆっくりと何かが動き出した音を、確かに私は感じ取っていた。