Bouquet. 2 ( ar×in shortstory )

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in side .



撮影初日は、それはそれはハードだった。

まず、今回のドラマは、社内では普通の上司部下の2人が実は交際中で、男同士での恋愛の問題を一緒に乗り越えてゆく…というストーリー。


今日は、2人が同棲する家での撮影。朝から喧嘩して険悪ムードのシーンや、一緒に料理をするシーン等様々なシュチュエーションを何度も繰り返し撮影する。

大ちゃんが俺をリードしてくれているのが分かって、演技中なのに思わずときめいてしまった。

ああ…こんなだらしない顔が地上波で流れるのかと複雑に感じつつ、撮影は順調に進んでいった。


最後は、2人一緒にベッドの中でただイチャイチャするシーンの撮影。そして、なんと…キスシーンが、ある。

ただでさえ、特に決まった台詞や動きの指示が具体的ではないこのシーンの演技は難しいのに、本当に好きな相手と、キスするなんて…

よく言えばラッキー、なんだろうけどさあ…


｢ちゃん、緊張してんの？｣
｢…はあ？するわけないだろ、大ちゃん相手に｣


ああーー…まーた可愛くないこと言っちゃった…

…でもだめだ。普通にしなきゃ。
大ちゃんに、迷惑かけたくないし…


｢ははっ、だよなあ。…でも俺は、割と緊張してる｣

｢…えっ…？｣

｢あー…ほら、キスシーンとか久々だから。…でも、役柄的には俺がリードしなくちゃだし…頑張るわ｣

｢ああ…そっか、｣


そうだよね、俺相手だから緊張してくれてるのかな〜、なんて…何浮かれてるんだろう、俺


｢…ねえ大ちゃん、撮影終わったらさ…久々に美味い肉でも食いに行く？｣

｢おっ、いいじゃん！じゃあ1発で終わらせよ！｣


…何より、これは仕事。

個人的な感情なんて、持ち込んじゃいけないんだ。



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