Prolog ページ3
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彼女と出会ったのは、春の麗らかな日が差し込む晴れの日のこと。
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コンコン、と自室のドアをノックする音が聞こえた。
「入りなさい。」
そう言うと
失礼致しますという柔らかな女の声が聞こえ、ドアが閉まった。
衣服が擦れる音がした後、凛と咲く花のような女性の声が響いた。
「本日よりこちらで紅明様にお仕えすることになりました。未熟者ではございますがよろしくお願い致します。」
そういえば兄上にそんな話を聞いたな、と思いながら手元の書類から声のほうへと目をやった。
そこには膝をつき、手を組んで頭を下げている私よりひと回りほど年が離れていると思われる少女の姿があった。
若いと言っても、私の侍女になるということは、それなりに仕事が出来てのことであろうから心配は無い。
「顔を上げなさい。」
私がそう言うと少女は顔を上げた。
____その姿に息を飲んだ。
黒い髪に美しく光る緑の目。
腕は細く透き通るように白かった。
窓から吹く風が彼女の髪を揺らし、より一層美しさを際立てた。
「____貴女、名はなんと?」
「はい。
Aと申します。練紅明様。」
これが彼女と私の出会い。
後に運命を変える出会いであった。
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作者名:真葛 | 作成日時:2018年3月18日 1時