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11話 ページ11

「そうだね…僕達はずっと一緒だったから…特別だったと思うよ。」



…これじゃまるで、僕がAのことを特別だって公言しているようなものじゃないか…。


アイスコーヒーを口に含む。冷たい。

自分の発言が後から少し気恥ずかしくなって、プラスチックの容器を少し揺らしてカラカラと氷を鳴らして誤魔化した。



「…良かった…。」

「良かった…?」

「えっと…なんて、言うのかな。
私が誰かの中で特別な存在だったんだなって…無性に嬉しくて…。」



記憶がない私なんかこんなこと言える立場じゃないのにね、とAはオレンジジュースを口に含んだ。

氷同士がぶつかり合うカラカラとした音が店の中の静寂を引き立てているように感じた。



「…記憶なんて、関係ないよ。」



Aはオレンジジュースから口を離して僕を見た。

その瞳は僅かな動揺の色を隠しきれていなかった。



「ないなら探そうよ。一緒に。
Aが失くしてしまった記憶を取り戻したいなら、僕はなんだってするから。」



Aの手をぎゅっと握り締めて、大きく見開いた目を見てそう言った。



「で、でも…。」

「言っておくけどこれは僕の意思なんだ。迷惑だとか、そんなこと思ってないからね。」



Aは昔から他人優先で自分のことは後回しにする癖があった。

でも、そこも含めて僕は君が好きだから。



「ね?」



Aは今にも泣き出しそうな顔をした。
潤んだ瞳を閉じると、僕の手をそっと握り返してくれた。

それは弱々しい力だったけど、強い決意が籠っていた。



コーヒーの氷もオレンジジュースの氷もすっかり溶けてしまって、飲み物はどんどんぬるくなっていく。

それと比例するように、握り合った手には熱が宿る。ああ、なんて熱いんだろう。



「…ありがとうっ…。」

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白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月19日 17時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます!素晴らしい作品だなんて畏れ多い…!最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい!泣きました。とても面白い、悲しい?ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです!こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月26日 0時

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