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一話 ページ3

「だっるぅー」


 くそっ、虎杖め……とAは軽く小さく舌を打つ。

 時刻は帰りのHRも終わり、部活の時間最中のはずの時間帯に俺は一人ホウキを持って賢明に壊れた校舎の掃き掃除に当たっている。元々俺と虎杖が通っていたオカルト研究部は、部活という部活もしておらず、ほとんど先生の雑務やこういった掃除だ。しかし、今回の掃除はスケールがでかすぎる。


「これ、休校もんだろ……」


 派手に壊れた校舎を眺めていると途端に腹が立ってきた。


「あーあ、なんで誰かもわからねぇヤツがやったとこの掃除しなきゃいけねぇんだ。先輩たちも休みだし……。よし、今なら誰も見ていない、サボろう」

 ほとんど真顔であろうAはホウキを投げ出した。

「あー、なんで虎杖東京へ行っちまったんだ……」

 改めて親友の存在が恋しい。

「それにしても地震とかもきてないのにこんなに校舎がぶっ壊れることあんのかぁ……?」

 そう不意に疑問が浮かんだのだが、今はすぐ校舎から出るのが最優先だ。まさか生徒が掃除をサボろうとしている所を発見されれば元も子もない。


 あと少しで外だ。出れる。

 あと、少しで、


 という所で、ふと、Aの足が止まる。



「は?きもっ」




 不意に汚い言葉が出たのは許してほしい。
 しかし、おそらくそう遠くもない距離で、おかしなものを目に捕らえたのだ。


 人間でもない、異様なモノ。
 恐らく目がないんだろう。でも確実に暗い学校の古い蛍光灯に照らされたソレは。確実にAのほうを視ていた。

 しんっと辺りが不気味に静かになる。

 人間と化け物が見つめ合っている光景は気まずいどころの話ではなく。Aは妙な汗が背中に伝うのを感じた。


「………マジで、なんでこんな時虎杖いねぇんだよ」



 そう思った刹那、全速力でAは廊下を蹴る。

 決して虎杖のように化け物じみた速度は出せないが、それでも賢明に足を動かし、二段飛びで階段を駆け上がる。
 判断は悪くなかったはずだ。それなのにソイツは間髪おかずにAの背後を追いかける。


「くっそが……」


 ああやべ、久しぶりにこんなに走ったから足がつりそうだ。

 これ以上速度落としたら多分捕まるな、とこれは周りの雰囲気で察した。ふざけるな、家に帰って高田ちゃんの配信観るはずだったのに……!と今更、東京でのほほんと生きているであろう親友にひねくれている殺意を送る。

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エレナ(プロフ) - 面白かったです!続き待ってます! (2022年5月8日 20時) (レス) @page4 id: 806542db6b (このIDを非表示/違反報告)
エレナ(プロフ) - 面白かったです!続き待ってます! (2022年5月8日 20時) (レス) @page4 id: 806542db6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アデリア | 作成日時:2022年4月29日 21時

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