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「Aちゃん、うらさんと同じ大学なん？」
うらたさんが上がっていった階段を見ながら俺は言った。
情けない顔をしている気がして、Aちゃんのほうを向けない。
「うん。学部は違うけど」
「そっか。仲、いいんやね」
こんなの、地雷じゃないか。と自分で思う。
それでも、会えなかった期間の分を埋めるように、ぽつりぽつりと、話した。
「普通、かな。バイトも同じだし、家も近いから」
「そうなんかな」
うらたさんは少なくともそうは思ってないと思うけど、と思いながらいうと、
「え？」
とAちゃんが聞き返えしたので、俺は「なんでもない」と首を振った。
それを伝えてあげられるほど、優しくはなれなかった。
「坂田くんは、うらたさんと友達なんだね」
「そ。昨日の夜から一緒にゲームしてたんよ」
うらさんが階段を降りてくる。
彼女とまたこうやって普通に話したくて、俺は気づいたら
「うらさん、今度、3人でご飯でも行こうよ」
と言っていた。
「え、飯？」
俺がそう言うと、戻ってきたばかりのうらさんは、ちょっと素っ気ない様子で「別にいいけど」と返した。
うらさん、ごめん。
でも、俺、まだ諦めきれてないみたいだから。
もう1回、チャンスがほしい。
それで、彼女が振り向かなかったら、諦めるから。
「また、連絡してもええ？」
「もちろん」
ようやく、Aちゃんの顔を見れた気がする。
やっぱり彼女はかわいくて、そう思ったら、俺は笑ってた。
「じゃ、俺帰るから。またね」
踵を返して、早歩きで駅までの道を行く。
彼女に会えて嬉しい。
ようやく、普通に話せた。
でも、うらさんがいた。
嬉しい、寂しい、苦しい。
うらさんの家から数えて最初の交差点を左折して、そこで俺はようやく立ち止まった。
心臓が、いたい。
いろんな感情がせめぎ合って、俺は左胸の当たりをぎゅっと右手で抑えながら、たまらず塀に背中を預けてずるずるとしゃがみ込む。
「……やっぱ、遅かったんかなあ」
絞り出した声は、震えて、掠れてしまっていた。
きっと、いまごろ、うらさんとAちゃんはデートしてる。
やっぱ俺はもう、過去の人なんかな。
きみのとなりは、もう俺じゃない。
その事実だけが、重かった。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます！またコメントをいただけて嬉しいです！続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします！ (2019年12月24日 11時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは！グッドイブニング･トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します！浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね！元々惚れてますけど余計に惚れますね！応援してます！更新頑張ってください！ (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます！どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月13日 23時
