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「……うま」
「ほんま、うまいわー!」
カレーを頬張る2人のリアクションは対照的だ。
きっと、わかりやすいのは坂田くんだ。
うまいうまいと満面の笑みで食べてくれる。
「おかわりっ!」という姿は、無邪気な子供のようで、見ているこちらまで嬉しくさせる。
その一方で、うらたさんは表情より行動で示すタイプだ。
一見わかりにくいが、ちゃんと「うまい」も「ありがとう」も「ごちそうさま」も言ってくれる。
不器用だけど、丁寧に伝えられる一言ひとことに、ちゃんと口に出さない想いまで含めてくれているような気がするのだ。
昼ごはんも一緒に食べていたので、夕飯も一緒となると、なんだか変な感じがする。
しかもその夕飯が、うちでカレーというのだから、尚更かもしれない。
テレビでは、さっきまで見ていたお笑い番組の決勝戦が行われようとしていた。
坂田くんが好きだと言っていたお笑い芸人は決勝戦まで勝ち進んでいるようだった。
「あれ、坂田の好きな芸人、出てんじゃん」
カレーを食べる手を止めて、テレビ画面を見ながらうらたさんは言った。
「そうなんよ!決勝まで来たし、このまま優勝や」
「俺、坂田に言われてから結構見てる。俺も好き。面白いよね」
カレーを食べながら、のんびりした声でうらたさんは坂田くんに視線をうつした。
テレビを見ていると、時間があっという間にすぎる。
決勝戦が終わる頃には、時計は11時をゆうに過ぎていて、坂田くんの終電の時間が迫っていた。
「おい、坂田。お前、電車大丈夫?」
「あ、ほんまや!……え〜、帰るのめんどい、うらさん、泊めて」
「だめだって。俺、明日用事あるもん」
「まじか、じゃあしゃあないから帰る」
いそいそと坂田くんが帰り支度をはじめる。
「じゃあ」と玄関先で坂田くんを見送ると、彼は
「Aちゃん、今日はありがとう。カレーも美味しかった。また連絡するから、デートいこ」
と満面の笑みで言った。
うらたさんが来る前のことを思い出して、顔が熱くなるのを感じる。
坂田くんはそれに気を良くしたのか、「またね」と言って、帰っていった。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます!またコメントをいただけて嬉しいです!続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします! (2019年12月24日 11時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは!グッドイブニング・トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します!浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね!元々惚れてますけど余計に惚れますね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます!どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りひと | 作成日時:2019年12月13日 23時