夏の大三角形 ページ39
夏休みに入って最初の土曜日。
文句なしの青空が広がった今日は、坂田くんとうらたさんと3人でご飯を食べる約束をしている。
うらたさんは夕方からバイトのシフトが入っているため、みんなでランチだ。
少し遅めの昼食を食べて、おしゃべりをして、うらたさんがバイトに行く時間に解散する流れだろう。
坂田くんと会うのは、プラネタリウムに行った日以来だった。
ほんの2週間ほど前のことだとは思えない。
彼はあの日の宣言通り、メッセージも途切れることなく毎日続いているし、たまに電話をすることもある。
とはいえ、会うのはあの日以来でちょっと緊張する。
うらたさんは、数日前、迷惑客の一件があったので、少し気恥ずかしい感じもする。
彼の前でボロボロ泣いてしまったのだ。
そう思うのも仕方ないかもしれない。
待ち合わせをしているのは、私たちのバイト先であるファミレスのそばにあるカフェだった。
バイト先の近くにあるので1度は行ってみたいと思っていたので、いつもより念入りにおしゃれをして、家を出た。
時間には余裕があるが、まあいいだろう。
土曜の山手線は、観光客や遊びに行く人々で、どの車両もいっぱいだった。
なんとか電車を降りると、街は人で溢れかえっていた。
ぶつからないよう、人波に流されながら、バイト先を通り過ぎ、次の通りを一本入る。
オフィス街の一角にあるそのカフェは、落ち着いた雰囲気の少しレトロな場所で、ゆったりとしたジャズが黒いスピーカーから抑えめのボリュームで流れていた。
香ばしいコーヒー豆の匂いがいっぱいに広がっていて、
「いらっしゃいませ。1名様ですか?」
「いえ、待ち合わせをしていて…」
キョロキョロと店内を見回すも、2人らしい影は見当たらない。
どうやら、私が1番乗りのようだ。
「Aじゃん」
後ろから聞きなれた声がして振り返ると、ほぼ同じ目線の高さにうらたさんの顔があった。
「うらたさん」
「2名様でよろしいでしょうか?」
ウェイトレスが確認するように私に声をかけた。
「いや、もう1人くるので」
「かしこまりました。先にお席にご案内いたします」
制服を着たウェイトレスは「こちらへどうぞ」と奥の席に案内する。
案内された席は、落ち着くチョコレートソース色のテーブルとそれと同じ色の椅子の4人席だった。
「坂田、遅れるって。先に頼んでようぜ」
うらたさんは座ると、そう言ってメニューを開いた。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます!またコメントをいただけて嬉しいです!続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします! (2019年12月24日 11時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは!グッドイブニング・トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します!浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね!元々惚れてますけど余計に惚れますね!応援してます!更新頑張ってください! (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます!どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りひと | 作成日時:2019年12月13日 23時