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そのとき、坂田は視界の端に
しかし坂田は、そちらを見ることが出来なかった。再びルシファーが攻撃してきたからだ。
「ふん、数で押せば何とかなるとでも思ったか」
凄まじい力で坂田を押しながら、ルシファーは笑った。その言葉で、今の光が何なのか、坂田は悟った。おそらく、味方のうちの誰かが、ルシファーを狙っているのだろう。
ルシファーの唇が、愉悦に歪むのに比例するように、槍は次第に坂田の方に傾いてくる。
まずい。
坂田の全身から、汗が吹き出した。
ゴーストシップのときも凄いと思ったが、あのときは、やはり相当力を加減していたらしい。
これは、今までの中で最も手強い相手だろう。
いや、手強いどころではない。
腕が痺れる。汗が流れて、目に入った。
このままでは押し切られるのも時間の問題だと思い、坂田は後方に飛んだ。
逃がさぬというように、すぐにルシファーが距離を詰めてくる。坂田は必死だった。接近戦を得意とする坂田でも、これほど手こずったのは初めてのことだ。
ルシファーの追撃を避けるようにしてもういちど後ろへ飛ぶ。すると、タイミングを見計らったかのように、光の線が先程まで坂田がいた場所を貫いた。
追撃に来ていたルシファーは避けきれず、体がぐらりと傾く。坂田には見えていた。センラが、ルシファーを狙っていたのを。そしてその光線が、ルシファーの脚を貫いたのを。
負傷し、スピードの遅くなったルシファーに、ここぞとばかりに襲いかかる。
けれども、ルシファーはそれを察して素早く後方に飛び退いた。悪魔の回復スピードは速い。ここで畳み掛けなければ自分たちに勝ち目はない。そう確信していた。
志麻が刀に魔法を纏わせて踊りかかった。炎を纏った刀身は、ルシファーの胸に深々と突き刺さる。
「ようやく、捕まえたで。長い鬼ごっこやったなぁ？」
「がっ…………ぁ………」
ルシファーは目を見開いて、志麻を見た。信じられないとでも言うかのようだ。
「……、ざ………けるなぁ……っ！！」
けれど、膝を着くことはルシファーのプライドが許さなかった。志麻を渾身の力で蹴り飛ばす。
ボキボキっ、と篭った音がした。骨を折られたのだ。志麻は思わず膝を着く。
ルシファーは後ろによろよろと下がりながら、なんとか自身に突き刺さった刀を引き抜いた。
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ちょこ - とてもよかったです！その後話がもっと欲しい！ (2022年6月26日 23時) (
レス) @page23 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 気づいたらこのお話に飲まれてました。とても素敵なお話をありがとうございました。他の作品も読みます！(*'▽'*) (2022年6月20日 21時) (レス) @page23 id: 020978a023 (このIDを非表示/違反報告)
ぷ(プロフ) - 読むたびに世界観に飲まれていきました。気付いたら最後まで読んでいました。素敵な世界を覗けてよかったです。ありがとうございました。 (2020年9月10日 20時) (レス) id: 5dd39aece4 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - 水無。さん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたのであれば何よりです。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年9月4日 23時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
水無。(プロフ) - ことで話にのめり込みやすかったですし、特に坂田さんの初々しいしい恋の表現の仕方には毎回きゅんきゅんさせられました。りひとさんの作る作品が大好きです。新作も前の作品も漁ってたくさん読みたいと思います。素晴らしい作品をありがとうございました！ (2020年9月3日 21時) (レス) id: 2fdfcf242b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年8月1日 11時
