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ーーーーーミカミだ。
志麻とセンラはすぐにわかった。
ミカミは、こちらが気づいたのを見て、しっかりとした足取りで近づいてきた。
心臓がうるさい。
まるで、耳元でどくどくと鼓動しているかのようだ。
志麻とセンラは、Aを守るように前に出ようとする。
それを押しとどめたのは、A本人だ。
「Aちゃん…？」
彼女は大丈夫だから、と言うと彼らの前に1歩踏み出した。
「ああ、Aちゃん。ようやく僕のところに来る気になったんだね？」
その様子を見て、ミカミは嬉しそうにニヤニヤと笑う。
「最初から、そうしておけば怖い思いもしなくて済んだのにね」
まったく、悪い子だなァと言って、Aとの距離を詰めてきた。
「近寄らないで」
ぴしゃりとAの声が公園に響いた。
ミカミの動きが止まる。
「私はあなたの所になんて行かない。あなたの言いなりになんてならない」
Aはキッとミカミを睨みつける。
「私の大切な人たちは傷つけさせないから」
急なことに、ミカミは動揺した。
いままで、自分の意思を言うことをしなかった彼女が、はっきりと自分に対して拒絶を示したのだ。
なぜなんだ!!とミカミの絶叫が響く。
志麻とセンラも同様に、驚かないはずがなかった。
「私が大切なのは、この2人だから。あなたじゃない。だから、もうつきまとわないで」
センラはAが震えていることに気がついた。
過去と決別し、全てを解決したいといった彼女。
その想いが、背中越しに伝わってくる。
怖いのに。しんどいのに。いまにも泣きそうなくせに。
必死に強がって、もがいている彼女の姿がそこにあった。
センラも、ぐっと腹に力を込めて、ミカミを見やる。
ミカミは、なぜなんだ!!なんで僕じゃなくてそいつなんだ、と喚いている。
急に、ミカミの動きが不気味なほどピタリと止まった。
「…わかった。じゃあ、そいつらを殺せば、Aちゃんは前みたいに僕を見てくれるんだね」
ひたりひたりとミカミが距離を詰めながら、来ていたパーカーのポケットに手を突っ込む。
Aは思わず後ずさりした。
その瞬間、ミカミは懐からポケットナイフを取り出すと、Aたちめがけて突進してくる。
「A!!」
咄嗟にセンラはAを引き寄せ、庇うように抱きしめた。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月3日 23時
