【ハイキュー】生意気なクソガキを預かった【青葉城西】

No.26 我儘 ページ26

とおるが帰ってきた途端、私のところにものすごい顔で寄ってきた。

正直、すごくキモかった。



及川「Aっ、あのね！」

『落ち着いてよとおる』



スーハーと深呼吸を繰り返し、やっと落ち着いたのかん"ん"っと咳をこぼす。

それて、私の目を見ながら口を開く。



及川「合宿、一緒に行かない？」

『……え？』


合宿って…とおるとはじめ兄達と行くはず。

私みたいな子供が行っちゃだめだよね。



及川「あっ大丈夫！ちゃんと監督…お偉いさんにも許可は取ったし、母さんも行ってらっしゃいって！！」

『……』

及川「A一人だと大変だから、有栖川ちゃんも来てくれるよ」

『……』

及川「そ、それに、岩ちゃん達も来てほしいって」

『……』


何も言わない私にオロオロするとおる。

私は目をとおるに合わせないように下に向けて、口を開いた。



『……私、迷惑じゃない…？』

及川「え……迷惑なわけないでしょ！」

『…ほんとに行ってもいいの…？』

及川「良いって！皆待ってるからさ！」

『……』


小さい頃から、パパとママは側にいなかった。

クリスマスもお正月も、私の誕生日にも仕事で祝ってくれたのは使用人の皆だけ。

プレゼントは直接渡してくれず、使用人からの手渡し。

親の仕事の都合によっての転勤。友達なんて作らなかった。



寂しいなんて気持ち、もう無かった。

海外に行くって言われた時も、"あぁ、また一人になるんだな"と思った。

とおるに会っても"どうせ直ぐに会わなくる"としか思わなかった。

けれど、私の為に悩んでくれて、お偉いさんにも相談して……こんなにも私の為にしてくれた。

私には充分すぎる。

…でも、これが最後の我儘にするから……



『…行きたい……です』

及川「っ！！うん！！！一緒に行こう！！」


とおるに笑顔で頭を撫でられた。

自然に口角が上がる。



『……ありがとう』

及川「いいえ！」



私達が笑いあっているところをとおるの親が涙を流しながら見ていたそうな。




及川「ねぇ、知ってる？旋毛押したらハゲるんだって」

『押さないでよ。私の髪はとおるにはあげないから』

及川「あのねぇ、Aの赤髪が及川さんの髪の毛に混ざってたら可笑しいでしょ？」

『必死にハゲを隠すとおる』

及川「やめてくれる？」

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