5* 本人達は真剣です ページ5
「ほんまに2人一緒に帰っとるやん…」
「何しろうらさんから誘ったらしくてさ」
「飯一緒に食ってない別れそうなカップルの下校とか地獄絵図やん…」
まるで漫画のように電柱から顔を覗かせる3人。下にはまーしぃ、上にはセンラが顔を出していた。二人の距離感は微妙で、空気の読めない自転車乗りが間を通ってもおかしくない。ここで割れてしまっては困るのだ。俺達は友人の笑顔と―――好きな子の笑顔を守るためなのだ。
「あっ!うらさんが声掛けとる」
「お、なんて言うてんの?」
「んー、なんか言ってるけど聞こえんなぁ」
でもうらさんのその横顔は真剣な眼差しそのもので何か伝えたい事があるのには違いない。対するAちゃんは何も聞こえていないかのようにずっと真っ直ぐ向いたまま歩いている。これは会話成立してない可能性がある。
「あ、もうすぐ家やん」
「先にAちゃんが家入ってその奥の方にうらさんの家があるからとりあえずAちゃんが家入った瞬間ダッシュやで」
「りょーかい」
身長差のあまりないうらさんがぎこちなく手を振った。Aちゃんはふとうらさんの方を向いたけど手を振り返すことなく玄関の扉を開いた。うらさんの降っていた手が降りた。
小さく聞こえた扉の閉まる音がするとセンラが風のように走り出した。それに面白そうについて行くまーしぃ。反応が遅れた俺は慌てて駆け出した。
「うーらたーん!」
「…うおっ、お前らかよ」
「どーやったん?」
「仲直りしたんやろ、どーせ」
うらさんは明らかに暗そうな顔をした。その瞬間俺たち3人はあっ、と小さく声を漏らしてしまった。パッと口元を抑えたけど意味は無い。うらさんははぁとため息をついてから一言。
「なんか根に持ってるみたい…俺の頭突きか?」
「いや、絶対それちゃうやろ」
「うらたん欲丸出しやったんちゃう?」
「うるっせぇなセンラ…口を開けばそーゆー話しかしねぇし」
そのまま玄関へ来るとうらさんは扉を開けて『ん、』と言って中を指さした。俺達は軽く跳ねながらうらさんの家にお邪魔させて頂いた。
「…謝るまで許さねぇとか言ったのはどこの誰なの、だって」
「自業自得やん」
デスヨネーなんて苦笑いしながら机に顔を伏せた。話する間も無いのだ。うらさんが悪いんじゃないのか。だけどAちゃんも謝ってくれたんやし許したらよかったのに…。
*修正しました*
702人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Leaf(プロフ) - あ、はぁ………尊い。 (2018年10月8日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します!陰ながらずっと読んでおりました!凄く大好きな作品です^^*作者様のうらたさんのとても好きなので、また読める機会があれば嬉しいです。完結、おめでとうございます。 (2018年10月7日 11時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - maiさん» コメントありがとうございます。坂田さんの出番を少し増やしてみますね^^* (2018年9月28日 22時) (レス) id: b10484d3c8 (このIDを非表示/違反報告)
mai - ほんっとうにこの作品好きです!私は坂田家ですが、うらさんも好きなので楽しんで読んでます。坂田が出てくるとにやにやしてたり笑 (2018年9月24日 10時) (レス) id: 77b863b750 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 宮本 ?さん» コメントありがとうございます。世界中のこたぬき様へのプレゼントみたいな短編小説になればと思います〜! (2018年9月15日 23時) (レス) id: b10484d3c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ