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43話 ページ45

楓side


楓「A、また来たよ。」


軽くノックをすると、ゴン。と重たい何かがあたる音がした。


これはAが扉の向こうに来たという合図。


病院にいる頃から、Aは人に触れられることを極度に嫌っていた。


何か自分を包むものが無いと落ち着かない…んだと思う。


退院してから一週間が経とうとしているが、私はこの子の姿を見ていない。


いつも放課後に立ち寄って、たくさんのことを話しはするが彼女の事は何も聞いていない。


どうしたらいいの…A…


どうしたら…お願い…ここを開けて…



楓「それでね…昨日母さんに私が焼いたクッキーを食べてもらえたの。Aも食べてね、置いておくから。」


なるべく明るく、いつも通りに…


そう思いながら話すけど…


私の瞳からは静かに涙がこぼれていた。









A、A…。


この扉を開けて…


顔を見せて。話を聞かせて…。


辛いなら私にそう言って…。


寄り添う事しかできないけど…


一人にはさせないから。


何度目か分からない。退院してから何度か来ているのに、まだ声も聞けない。




楓「お兄さん…少し痩せましたね。」


帰り際、久しぶりに見た一郎さんは前とは違い少し痩せこけていた。


そりゃそうだ。妹が酷い目に遭ったんだから。


Aがあの事故に巻き込まれたと知ったのはあの日の夜、一郎さんからの電話で聞いた。


会いたい。


会って全部吐き出していいよって…背中を撫でたい。


…なんて。

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琳檎(プロフ) - しれっと更新再開します…。これからもよろしくお願いします…( ._. )" (6月20日 22時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 嵯峨野 繆謎さん» お久しぶりです。( 'ω')ノほんとに遅くなってすみません、こんなに早くにコメント下さって泣きそうな位嬉しいです!!! (2020年8月22日 0時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野 繆謎(プロフ) - やっと更新されたあああ!ずっと待ってました!! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
琳檎(プロフ) - 叶芽さん» コメントありがとうございます、続きだすの遅くてごめんなさいね(´;ω;`) (2020年8月21日 23時) (レス) id: be3a7aa177 (このIDを非表示/違反報告)
叶芽 - 続きが気になりました!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年5月28日 17時) (レス) id: ab515b650e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琳檎 | 作成日時:2020年4月13日 1時

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