再び恋をはじめます【緑】 (ページ16)

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わたしは小さい頃から本を読むことが好きで、お母さんによく図書館に連れて行ってもらってた。中学生の時も高校生になってからもテスト前はよくその図書館で勉強していた。

亮平と初めて出会った日も、図書館で勉強していた。

「すみません。隣いいですか？」

いつもなら座っている席の隣の椅子に荷物を置いても他の人も余裕で座れるくらい席が空いているのに、その日は何故か人が多くて、申し訳なさそうに声を掛けてきたのが亮平だった。

『あ、すみません。どうぞ』

椅子に置いていたリュックをどかそうと思って持ち上げようとしたら、ファスナーが空いていて豪快に教科書やノートをぶちまけてしまった。

『わっ、』

「大丈夫ですか？手伝いますね」

『すみません…』

当時から優しかった亮平はわたしが拾おうとするよりも先に拾い始めてくれて、良い人だなって思った記憶がある。

「よいしょ、と。これで全部かな」

『ほんとすみません…ありがとうございました』

「全然！俺のせいでもあるから、」

苦笑いしている亮平にもう一度ありがとうございました、と伝えてから机に向き直る。どこまで解いてたっけ、と問題集を確認していると

「受験生？」

『え、』

急に聞かれたものだからビックリして、固まったわたしを見てあってる？って首を傾げる。

『…あってます』

「どこの大学目指してるの？」

初めて会って初めて話したのに、結構プライベートなところまで踏み込んで来る人だなと思っていたら、

「あ、ごめん！自己紹介してなかったね」

「阿部亮平って言います。上智大学の3回生です」

『え！？わたしの行きたいとこ…！』

「ははっまじ？」

大きく首を縦に振ると、すごい偶然だねって白い歯を見せて笑う。その笑顔に一瞬胸がときめいた気がした。

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