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学校終わりに今日も勉強して帰ろうと思い図書館に寄ると、出入口に一番近い本棚のところにいる阿部さんを見つけた。
『こんにちは』
「こんにちは。今日も勉強？」
『そうです。受験まで一ヶ月切ってるので』
「偉いね」
ポンポンと頭の上を弾む阿部さんの手。自然とされたそれに、女の子慣れしてるのかな、と少し胸が痛くなる。
『それじゃあ、』
勉強するので失礼します、と空いている席に行こうとしたら
「…あのさ、俺そこの机で勉強してるんだけど、一緒にしない？」
『え？』
「嫌だったら全然いいんだけど…」
『嫌じゃないです、』
「よかった」
安心したようにふわりと笑った阿部さんに、また、胸がときめいて、鼓動が加速する。
「わからないとこあったら聞いていいからね？」
『……は、い、』
阿部さんはいつもと変わらなくて、わたしだけが意識しちゃってて。だけどなんで意識してるのかとか、鼓動が早くなるのかとか、わからなくて。
受験の前なのに、こんなのだめだよって思うのに、自分ではどうにも出来ないのがもどかしい。
参考書を開いて問題を解いていくけど、やっぱり阿部さんのことが気になって仕方ない。
「…ん？わかんないとこあった？」
『え、？』
「あれ、違った？視線感じたからそうかなって思ったんだけど」
『や、えっと…』
このままじゃ集中出来ない。
そう思ったわたしは今日は帰ります…！と伝えてから図書館を出る。
阿部さん、わたしのこと絶対変な奴だって思ったよね、
だけど一緒にいたら阿部さんのことしか考えられなくなるから、受験が終わるまでは図書館に行くのやめよう。
それからは受験まで学校に残って勉強をして、
阿部さんに会うこともなくなった。
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作者名：陽梨
| 作成日時：2021年4月9日 0時
