42.終わらせたい ページ42
今日、荷物取りに行きたいんだけど
いいよ
何時ならいいの?
今日はずっといるから何時でもいい
あたしは返ってきたメッセージに溜息を吐いた。あんな奴の家になんてもう二度と行くかとは思っていたけど、何も持たずに飛び出してきたものだから、何度か色々と困ることがあったのだ。このままだと暮らしにくくて堪らない。嫌な事はなるだけ早く終わらせたいあたしは今から行くと彼にメッセージを送った。
分かった。鍵開けてる
速攻返ってきた返事にふと頭を悩ませたが、深く考えてしまう前にさっさと行こうと立ち上がる。今のところあの日に着てた制服とたまたまポケットに入ってた携帯しか持ってないし、どうせ今後色々と不便になる。もはや、既に服にも化粧品の類いにも困っているし。上下この家の人に借りている服のままあたしは自室を出た。
靴を履こうと視線を落とした玄関先ですれ違ったのは寝起きの渡邊さん。彼は眠気まなこを擦りながらあたしに尋ねてくる。
「…ん、どっか行くの」
「上の部屋に荷物取りに行ってきます。あと朝ごはん、簡単なのですけど机に置いてます」
「……取りにって、一人で?」
「はい、行ってきます。靴借りますね」
「良いけど………」
何かを言おうとした彼から目を逸らし、あたしは大きめのサンダルに足を差し込み家を出た。向こうの家に何が残っているかは分からない。とりあえず日常生活に欠かせない必ず要るものは…とブツブツ呟きながら一つ上の階にある行き慣れた場所を目指す。
部屋の前に着き、チャイムを鳴らそうとしたあたしは彼の言葉を思い出しそれをやめてドアノブに手をかけた。彼の言う通り扉は施錠されておらず簡単に開く。一週間ぶりの部屋。一週間前までは当たり前のように通っていた部屋。お邪魔しますと声を掛けて玄関に足を踏み入れたが、簡単に見た様子だと第一印象は何も変わっていない。相変わらずジン君達の家と違って、至極殺風景で片付いている。奥のリビングまで行けば、彼は座ってテレビを見ていた。
「…あたしの物、持って帰るから」
動かない横顔に声を掛けた。彼は何となく返事をしたけど、あたしは直ぐに背中を向けたからあまりきちんとは聞こえなかった。あたしの部屋だった場所に行き、クローゼットを開ける。絶対に捨てられたと思ったけど、あたしの物は触った気配が無く位置すらも変わっていなかった。とりあえず要ると思ったものをその辺にあったマチの広い鞄に突っ込んでいった。
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匿名(プロフ) - 湯豆腐さん» とても嬉しいコメントありがとうございます^ ^ なかなか試行錯誤しておりますが、私なりの彼等を楽しんで頂ければと思います。お話いっぱいになり移行しましたので、次も末永く応援頂けると嬉しいです! (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 花恋さん» お返事大変遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。またお話増えましたので、お時間ある時にでもちらりと覗いてみて下さい^ ^ お待ちしてます。 (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - なななさん» お返事大変遅くなり申し訳ないです。応援ありがとうございます!時間が出来また更新し始めたので、これからも気長に見守って頂ければ嬉しく思います^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 夜星さん» お返事大変遅くなってしまいました。最近時間が出来たのでゆるゆると更新しております。暇な時にでも覗きに来ていただければ幸いです^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐(プロフ) - 匿名さんがかくジンくんとマホトくんが一番好きです。匿名さんも大好きです。これからも応援してます! (2018年4月25日 19時) (レス) id: 65ae9a78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年7月10日 7時