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お客さん (センラ) ページ14

you side


毎週木曜日お店が閉まる頃に姿を見せるお客さんがいる。


見た目からしてまだ入社して数年のサラリーマンさんだと思う。去年の夏頃疲れきってたまたま見つけたこのお店に入ってきたお客さんはそろそろ来る頃かなあなんて。


1回なんで木曜日なんですか?ってお客さんに聞いた事がある。その時に聞いたのはサラリーマンとは別に金曜日は大概関東に行く移動に使ってるからこっちに居ないんですって言われた。


お客さん自体お酒は強くないみたいで、弱いお酒を2杯くらい飲んでお店を出ることが多い。


そんなことを考えているとドアのベルが鳴る。
木曜日のこの時間は大概あの人しかいなくて、顔を上げるといつも通り疲れ切ったお客さんの顔がある。


バーカウンターを挟んでそこそこ仲良くなったお客さんに、今日もお疲れ様ですと1声かける。


船「お姉さん先週ぶりですね」


「お客さん、先週より疲れてそうですけどそんなにお仕事忙しいんですか?」


京都訛りが心地いいお客さんとは対照的に東京出身の私は標準語で。


祖父がやっていたバーを継ぐために名古屋に来てもう5年経つけど方言に染ったことはなかった。


船「仕事はいつも通りなんですけど別件が忙しくて」


眉を下げて苦笑いでそう言う。


「お休みとか出来ないんですか?」


船「これでも30万人のファンを抱えた活動者なもんでなかなかにね〜」


「えっ…?30万人…?」


お客さんが頼むものは決まってるからいつも通りそれを作りながら聞いていると普通なら聞かない数字。


船「マイナーな活動なんですけどね〜w待ってくれてるファンの子達のために頑張らんとなって」


「そうなんですか…じゃあ今日1杯サービスしますから明日からまた頑張ってください…なんてどうです?」


船「そんなのいいんですよ。頑張ってくださいだけで…」


微笑みながらそういうお客さん。
ちょっと考えてからこちらを見て口を開く


船「あっじゃあお姉さんの名前教えてくれませんか?俺それで頑張ります。俺センラっていいます」


急なお願い。名前くらい大したことないけどびっくりした。そんなことで頑張れるのかって。


きっと彼が言ったのは通り名。
だったら私も本名じゃなくてネットの名前でいいかななんて。


「じゃあキールってよんでください。本名はまた仲良くなったらで…ね?」


数週間後昼の街で2人で肩を並べる2人がいたとかいなかったとか

終わり ログインすれば
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作者名:ちーずたると | 作成日時:2018年11月20日 3時

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