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『っは!』
詰まっていた息を吐き出すと、咳が数回出た。
息を整えると、一筋額から頬にかけて汗が流れ、シーツに落ちた。
『……また、うなされた』
上半身を起き上がらせると、外は雨が降っていた。
昨日の天気予報通りだ。
そう思いながら、もう一度ベッドに横たわった。
息を深く吐き、目を瞑った。
鼓動が速くなった心臓を落ち着かせるように撫でながら。
いつも、何か夢を見てうなされている。
目が覚めても、それが何の夢だったか覚えていない。
違う内容の時は覚えてるのに、昔から、
ずっと小さい頃から、見てるのに、一度も覚えていない。
あの、警察が言っていた言葉が気になった。
“この平和な世の中に産まれ落ちたんだ。
前みたいに殺し合いの世界じゃない。”
あの人は、自分を知っているのだろう。
だから、知ったような口をきいていた、
自分は何者で、あの警察の人にどんな影響を与えていたんだ。
他にも、自分のことを知っている人がいるのだろうか。
わからない、思い出せない。
これが、死に急ぐ自分の罪なのだろうか。
前世。というものを聞いたことがあった。
時々、覚えていて生まれてくる人がいるとも聞いたことがあった。
自分は何か前世で大罪を犯したのだろう。だから、こんな辛い目に遭うのだ。
いや、今現在も死に急いでいるからかもしれない。
神は見ているんだ。直接手を下さず、間接的に考えを改めようと、裁きを与えているに違いない。
神は殺傷を行わない。
代わりに、考えを改めさせるためにいろんな手を使ってくる。
卑怯者だ。
『…信じない、自分は、信じない。』
神はいない。覚えていないのは、運が悪かっただけ。
こんな辛い目に遭うのも、運が悪かっただけ。
苦あれば楽あり。苦あれば楽あり。
そう何度か唱えた後、深呼吸をし、目を瞑った。
気圧のせいで、左腕の傷、身体中にあるいろんな理由でできた傷痕がじくり。と痛み始めたのを我慢し、
また眠りについた。
次に起こされたのは、朝ごはんの時だった。
目を擦り、体を起き上がらせて体温、血圧を測った。
すべて正常通りで、美味しいご飯を食べることができた。
テレビをつけると、ニュースは新しい情報が流れていた。
大手企業が海外に進出するとのこと。
海外の会社と手を組み、何やら新しい場所を作り、世界で楽しめるものを作ると意気込んでいた。
日本の技術と海外の技術が合わさったらすごいものができそうだな。そう思いながら白米を口の中に入れた。
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作者名:愛 | 作成日時:2022年10月19日 23時