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あれは、血生臭い匂いがあちこちからする戦場だった。
気づいた時には友人は死に、周りには負傷している戦士しかいなかった。
自分の両手は血だらけで、動かそうとしても全身の筋肉、そして撃たれた箇所が悲鳴を上げるほどの痛みを感じた。
それでも戦場で体が俊敏に、かつ撃たれても動けるのは、
死にたくない。という意志だろう。
戦場には、当たり前だが待てがない。
タンマ、タイム。そんなのもない。
連射、乱射しながらこちらに撃ってくる弾丸は生きてはいない。
機械を壊したとしても、人が生きていれば意味はない。
新しい武器を持ちこちらに撃ってきて人が死ぬ。
特攻隊みたいなことをして、突っ込んで一人で銃撃隊を殲滅させた。
殲滅しても、敵陣に向かう足を止めなかったのは、
自分が思う自然を追い求めていたからだろう。
撃たれても、刺されても、痛くて動きたくなくても、それでも敵を刺し殺したのは、
自分の死に場を探していたからかもしれない。
自分はこんな奴らのために死にたくない、こんな奴らのために命を捨てるわけにはいかない。
死んでいった戦士に情けないツラを見せるわけにはいかない。
そんな決意を持っても、何度か死にそうになったことがある。
それは夜だ。
寒くて、凍えそうで、何度も寒さに負けて瞳を閉じそうになってしまったことがあった。
それでも、耐えれたのは、手を握りしめてくれた、傷だらけの男のおかげだった。
優しくて、自分と同じ死に急ぐ男で、不死身。と呼ばれていた男だ。
結局、自分は、自分のことが怖いと言っていた日本兵に頭を撃ち抜かれて軍隊から追放された。
手術は成功したが、前のように俊敏さがなくなっていたため除隊処理。日本兵はその場で自死していた。
使い物にならないやつは捨てられる。その時自分はそう学んだ。命を張っても、結局使い物にならなければ捨てられる。
森に入って、何か食べ物を探していた時に出会った熊。
自分目がけ一直線に走り、飛びかかってきたのを走って逃げ、息を殺し通り過ぎるのを待ったが、熊は自分の後ろ目がけ飛び掛かってきた。
ーーそこで目が覚めた。
アイマスクを外し、汗だくの額を袖丈で拭った。
上半身を起き上がらせ、息を整えた。
おちつかせ、固い布団から立ち上がりシャワーを浴びた。
このボロい部屋は家賃が2万の格安のアパートの一室。
どっかの誰かがジサツしたとかで事故物件になっているが、
いずれ死ぬ自分には関係のないことだから契約した。
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作者名:愛 | 作成日時:2022年10月19日 23時