助言は聞くべき ページ8
【夢主目線】
以前からコツコツと積み上げてきた訓練のお陰で体力には自信がある。
だが今日は何だか息が直ぐに上がる。之では追い付かれるのも時間の問題らしい。
然しどうやら茶髪は苦しくなってきた様だ。次第に息の切れる音が大きくなっていくじゃあないか。
之はもしかしたら着く前に過呼吸でも起こして倒れてはしまいか。
そう心の中で嗤ってチラと横目で奴を確認した。
────ｯ！？！
なんと奴は直ぐ真後ろにまで迫っているではないか。
成程、音の大きくなったのは奴の息が上がったんじゃなくて…
【近付いていた】からか
此処でやっと私は詠美が言っていた事を思い出した。
“私の異能力は対象者の容姿と身体能力を幼少期の風姿に戻すの”
嗚呼成程、身体能力さえも劣化した訳ですか。
其れなら敵わないのも無理はない。
私が半場諦め掛けた時にやっと目的地の裏路地に続く道を発見した。
────ｯ…其の入口迄行ければッ…。
私は最後の力という力を振り絞ってそこに到達した。
よし。此処からは…迫真の演技…！
そう決心を決めて後ろの暗闇に待ち構える仲間を前に私は可哀想に怯えた幼女を演じる。
「……ﾌｴｪ…こ、来ないで……怖いよう…お兄さん…誰…？」
そう言って奴と向かい合いながら確実に一歩また一歩と路地奥へと誘導する。
声を籠らせて呂律を態と回らない様にした。
茶髪「怖がらなくていいんだ。唯僕の探し人に似ていてね。首筋だけ見せてもらっても良いかな？」
「嫌だよ…お兄さん…なんか怖いもん……」
虐待された子犬みたいな目で見つめて
そう言ってみれば面白い位に此の茶髪は口角を吊り上げて私を安心させようと必死になる。そして終いにはお道化を演じる始末である。
茶髪「怖くなんてないさ。一寸！一瞬だけ。チラッと見せてくれればそれでいいんだよ。」
じりじりと馬鹿みたいに寄ってくるので其の歩幅に合わせて一歩また一歩と後ろへ下がる。
「怖いよう……其れに……。」
私は遂に定位置に来てしまった。だから私は其の場でピタリと足を止めた。
茶髪「……それに？」
此奴もまた定位置で止まる。
此処がお前の墓場になるとはつゆ知らず。
「首筋は見せられないの。」
私は唐突に声色を真声に戻した。
茶髪「……？！…な、何故だい？」
「首筋を取られたら終わりよ。人間に限らず鼠もね。」
其れを合図に暗闇から獣と化した一行が姿を表した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります！ (2018年8月1日 13時) (
レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです！通知来る度うきうきしてます！無理せずこれからも更新頑張って下さい！ (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです！応援してます！壁|ｮ･ω･｀o)ｶﾞﾝﾊﾞｯﾃｯ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います！最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えりんぎそーまっち | 作成日時：2018年6月9日 18時
