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土壇場 ページ27

【夢主目線】


Q「……聞いた事ある………。」



あからさまに彼は動揺の色を見せた。

そして鉄格子から背中を離すとゆっくりと此方に身体を向けた。



其の瞳には先程見た、爛々と獣の様な瞳では無く何処か怯えるようなものさえ感じられた。




Q「じゃあ…君の異能って……?」


「そこは…私もよく分からないんだ……。」



あの黒封筒の中の手紙には深い意味は込められてはいないと知った今、父親に対する憎悪は膨らむ一方であった。

それと同時に自らの能力は再び闇に包まれることになった。



Q「でも…親が異能力者ならしかも…得一級の危険能力者ならなおさら。子供は何かしらの能力を持っていてもおかしくはないよね…。」


“得一級の危険能力者”と聞いて改めて自分の父親の社会的存在を思い知らされた。



Q「……どうして其の組織の人に君は…。」



私は自分が其の組織の人間達に煙たがられていた事や、ポートマフィアに入った経緯、今何故こうして監獄に入れられたのかも全て包み隠さず話した。

全て曝け出す様に話せてしまったのは彼の境遇を自分と重ねたからかもしれない。



Q「……僕、誤解してた君の事色々と…。」


「大丈夫。そういうの慣れてるから…。」




それからQ君はなんと自ら自分の境遇や異能の事について話してくれた。

初めは影を落としていた其の顔も、徐々に生き生きと目を輝かせて語っていたのがとても印象的だった。



大分、互いの間にあった壁が崩れてきたところで私は彼についての疑問が一つ、浮かび上がった。




「………ねぇ。Q君。」


そう言って話し掛けると彼は柔らかな笑顔で首を傾けた。

其の面持ちを見ると、彼から異能を取れば普通の子供で普通に両親と分け隔てなく暮らしていけたのにと思ってしまう。

そう思う度に胸が苦しくなった。





「……私を最初に見た時に“お姉ちゃん”って言ったのは何故?」



そう、今の私の容姿は小学生宛らなのである。

一見すればQ君と歳は同じ位に見える筈なのだ。

否、それよりひょっとするとQ君よりも幼く見える。


にも関わらずQ君は私の事を“お姉ちゃん”と呼んだ。


まるで、彼の瞳には私の元の姿が透けて見えているかのように。

次の言葉で私は其の開いた口が塞がらなかった。






Q「だってお姉ちゃん。今、異能かかってるから。」

壁は崩された→←忌み子と囚人



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(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時

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