忌み子と囚人 ページ26
【夢主目線】
神は意地悪だ。
──この子は自分の生まれ持った異能を忌み嫌い
──私は大罪人の父親を忌み嫌う
どちらも選ぶことの出来ない運命。
私と彼は似ている。
だからこそまた、こうして手を差し伸べて仕舞うのかもしれない。
其れは誹りでもなければ慈悲でもない。
もっと違う何かなのだ。
「────貴方の名前は……？名前教えてよ。」
Ｑ「……僕の名前なんか知ったところで…………。」
其の悲しげな背中を揺れる蝋燭の火が照らして、一層陰鬱さを増していた。
「それでも私は知りたいよ。名前は唯一無二なんだからさ。」
Ｑ「僕の親はね、僕が精神操作の異能を持っているって知った瞬間に僕を捨てたんだ。だから僕はこの異能も憎いし、僕を見捨てた親も憎い。」
───この子に比べたら私の悩みなんて…………
Ｑ「だから僕は、親が付けたこの名前も嫌いなんだ。」
───でもだからと言って引き下がったら…………
この子は永遠にこの闇から抜け出せないかもしれない。
「でもさ。Ｑ君の親は少なからず其の名前を付けた時はＱ君のこと、大好きだったと思うな。」
Ｑ「……そうだとしても結果このざまじゃないか」
────底が見えない闇。光の一筋さえも彼には差し込まない。
Ｑ「………君はどうしてこの組織に入ったの？重役の人ってことはきっと凄い異能とか持ってるんでしょ？教えてよ。君の事。」
「………私？私の事なんて知ったって……あ、」
Ｑ「そういう事だよ。僕だって自分の闇を易々と曝け出す事はしないし、君だって曝け出したくはないでしょ…。」
私は卑怯者だ。
自分の事は伏せて他人の秘密事を聞こうとするような。
彼に手を差し伸べるのは慈悲ではないと言ったがそれは撤回だ。
私は心の何処かで彼を哀れんでいた。
自分より可哀想だと決めつけていた。
嗚呼、其れのなんと傲慢な事か……。
この子が心を開く鍵はただ一つ。
──────自らの闇を曝け出す事。
「私はね、親に殺されかけたんだ。」
Ｑ「………え？」
そう。これが私の一番深い闇。
そして、最も深手な部分。
「……まあ、正確に言うと親の組織の教育係的な人なんだけどね。」
Ｑ「教育係さんが居るって事は…君は……。」
「……一応、令嬢なんだ……。」
Ｑ「エリートなんだね。それで何処の組織の？」
嗚呼。毎度々……口にするのも気が引ける。
「────死の家の鼠。」
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります！ (2018年8月1日 13時) (
レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです！通知来る度うきうきしてます！無理せずこれからも更新頑張って下さい！ (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです！応援してます！壁|ｮ･ω･｀o)ｶﾞﾝﾊﾞｯﾃｯ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います！最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎそーまっち | 作成日時：2018年6月9日 18時
