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◆ I love you" falls short of my love for you 5 ◆ ページ8

気絶しただるまさんを放置することなんて出来ず、近くにあった荷物用カートを拝借。だるまさんを乗せて移動し、付近のベンチに寝かせた。

スマホを弄り、病院のベンチで眠っていそうな医者へ電話を掛ける。数コールの後、『なに〜?』とヘリコプターの駆動音の中で間延びした声が聴こえた。


「らっだぁ?あの人…だるまさんが倒れちゃったんだけど来れる?」
『え、なんで?手ぇ出た?』
「私をなんだと思ってるのよ。まぁそういう事だから来てくれる?昨日抗争で怪我も負ってるみたいだし…」
『安静にしてろって言ってたのにあいつ今日も行ったのか。あー…でも俺ちょっと今忙しいのよ。代わりの救急隊員行かせるからちょっと待ってて』


ブツッと音が鳴れば、らっだぁの声は聴こえなくなる。
医者は忙しいなぁと他人事のように思いながら、私の上着を敷いただけの固いベンチに寝心地の悪さを感じているだるまさんを見る。傷が痛いのか、患部を時折抑えていた。

らっだぁが安静にしてろとぼやいていた相手はだるまさんに違いない。やっぱり、思っていた以上に彼の傷は深いのだろう。

なのに、今日もまた告白しにきたなんて。


「馬鹿な人…」


彼は私を偶像化し過ぎだ。
本当は彼の言葉のような人物像ではないのに。

彼の口から出る言葉は外側から見た私であり、本当の私を見た時、彼はどんな反応をするのだろうか。…きっと失望するに決まってる。

だるまさんの上半身を少しだけ起こし、空けた部分に座る。
そのまま、ゆっくり寝かせると私の太腿部分に彼の頭が乗った。


「…えっ」


すると、だるまさんの険しかった顔が信じられない程に緩み始めて、起きているのではないかと疑う程にニコニコし始める。
引き気味に驚きつつも、痛みに震えているだるまさんの手に自分の手を無意識に重ねる。


「あっ…しまった」


昔、怪我した時に母親が手を握ってくれていた癖が思わず出てしまった。すぐさま退けようとするも、だるまさんが間髪入れずに握ってしまい、どうしようか悩んでいると声がかかった。


「あ、だるまの」
「違うよ、なんで皆同じ事を…」
「えっ?って事は、だるまと付き合ったの?」
「ごめん条件反射で出た…付き合ってないよ」

人の話はきちんと聞くべきだなと自分を戒めつつ、駆け付けてくれたらっだぁの同僚であるひなのさんにお辞儀をする。


「うわ、あんたきっも。顔やばい程ニヤけてるよ」
「もぉちょい遅くこいやひなーの…」


この人、起きてたんかい。

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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます!こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります! (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです!!更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こりん | 作成日時:2023年10月29日 17時

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