◆ on a quiet night 5 ◆ ページ46
「ッ〜〜…！！いだぁッ…！！」
「ひぇ……だ、だるまさん…！？大丈夫、ですか…！？」
苦悩の末に出した答えは私の上から退き、だるまさんが自分の頬を思い切り殴る事だった。
中々いい音が響き、大丈夫かと手を差し伸べようとすればすぐさま、その手を絡め取られ、引き寄せられる。
同じ香りがするふわふわとしたグレージュが鎖骨を擽る。ちゅうと肌を吸われた感覚にビクッと肩を震わせた。
体内に収められていた血全てが沸騰しているのではないかと言うぐらいに身体に熱が篭り始める、
チクッとした痛みを最後に鎖骨から顔を離す。
片鼻から少量の血を出して、片頬を少しだけ腫らしているだるまさんが両頬を大きな手でぷにっと優しく掴む。
「今回はどっちも悪い！でも次は問答無用でするからな…！」
と言って、だるまさんは鼻血を止める為に慌てて離れると洗面所へと飛び込んだ。「よく！！止めた！！俺！！偉い！！」と本能に勝った事を苦し紛れに叫ぶ声が洩れているも今は咎める人はいない。
「…」
茫然と天井の1点だけを見つめる。
バクバクと過度に動く心臓の音は五月蝿くも心地よく、瞳に溜まった涕涙が目尻から零れ、ソファに吸われていく。
___________私は最低だ。また、彼を試した。
止まれるのか、するのか。試した。
なんで私はこんなに醜いの？
ずっと、醜い。あの人の優しさを穢すような事ばかりして、私は何がしたいの？
嫌だ、こんな私が、嫌いだ。大嫌いだ。
醜くて、酷くて、最低な私なんて消えてしまえばいいのに。
「なんで……なんで、優しいの…」
自分を殴ってまで、やめてくれた。
きっと、まだ告白の返事を「YES」で返していないから、彼は止めてくれた。私の身を案じてくれた。気持ちを優先してくれた。
どうして、こんなにもあの人は優しいの？
どうして、私はこんなにも醜いの？
「……ごめんなさい。本当に、ごめんなさい…」
今日が静かな夜になったのは、貴方の優しさで齎された。
静寂が奏でる調律は美しく、醜さで汚れた胸を何度も貫く。
貴方の優しい選択が、どれ程嬉しいか…言葉では言い表せないぐらいに、感謝しかない。
だから、今日で最後にしよう。
今日で全部分かったから。
下着をナイト用に着替え、ふらふらとした足取りで洗面所にいるだるまさんに声を掛ける。
「…鼻、大丈夫ですか？」
「うん、もう大丈夫よ」
「今度は変な意味じゃないです。…今日は隣で寝てくれませんか」
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
