ギャングのボスに毎日、迫られています

◆ "I love you" falls short of my love for you ◆ ページ4

「あ、だるまの」
「違うけど」


病院入口付近にあるベンチで寝そべっていた院長:らっだぁは病院前を通り過ぎる私を見るなり、誤解を述べた。
即答で否定すると「大変ねぇ」とあまり感情が込められていない同情を投げかけながら、自分の横に座るようベンチをぽんぽん叩く。
座って話そう、ということらしい。


「今、仕事の休憩？」
「そ。コンビニ帰り」


院長のらっだぁとは小学校からの腐れ縁で会った際は今もこうしてたまに駄弁る関係である。そして、つい先月まではずっとお世話になっていた医者と患者の関係。
促されるがままにベンチを座れば、「あ、これだるまに殺されるかな」と物騒な事を呟いた。


「あの人のこと知ってたの？」
「ん？まぁね。…いやぁ、まさか、だるまがAにぞっこんになるなんてねぇ。今はその話で持ち切りよ。本人は一応、自分のファミリーにしか言ってないと思うけどあっちこっちで惚気けてるからバレバレ。そういえば恋愛は暫くしないって言ってたけど………あの、その、大丈夫？」
「変に遠慮しないで聞いていいよ。もう、全部忘れたし。まず、恋愛はしてないけどね。あの人と会った覚えないのにホントいきなり告白されて…本当に意味が分からない」


家族や職場の人にギャングに迫られているなんて言えず、1人で抱えていたのでらっだぁに相談できて少しだけホッとした。
憂鬱になりかけている私にらっだぁは間延びした声で天を仰ぎながら、彼を語る。


「だるまはやってる事は確かにヤバいけど優しいし良い奴だよ。確かに一人暮らしのAにとってはだるまは毎日のように現れて告白し始めたっていう不審者で怖い存在だろうけど…俺はあいつの友人としてAにちゃんと知って欲しいな、だるまのこと。少なくとも、Aに危害を加えるような奴じゃないって断言出来る。むしろ、あいつは命掛けてAを守らなきゃって思ってるよ」
「…買収された？」
「俺は善良な白医者ですぅ。GODFAMILYのだるまじゃなくて、Aにぞっこんな男のだるまで見てあげて？」
「冗談よ。まぁ、らっだぁがそこまで言うなら…」


何かと言って、らっだぁはこの街でなら信用に値する人物だ。そんな彼があの人を高く評価しているならば。

あの人は…だるまさんはらっだぁを通じてある意味、信用出来る人物である。


「あ、だるまさんの」
「違うってば」
「えびお、まだだから今はやめとこな」
「まだって言うな」

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