ギャングのボスに毎日、迫られています

◇ You mean the world to me 6 ◇ ページ15

ポンッと投げられ、身体を受け止めたのは質の良さそうなマットレスだった。視界も同時に鮮明になり、周囲を見渡せば手入れが行き届いているものの生活感溢れる部屋が広がっている。持ち主が考えなくとも分かった。

部屋に鍵をかけただるまさんはくるりと半転するとベッドの上で芋虫のように動く私を見るなり、綺麗に整った唇を歪ませ嗤う。

｢簡単に攫われてるやん。声は掛けられてるけど襲われない？自分に危険は無い？危険迫ってるやん、今。あんな簡単に拉致られて、敵のアジトにまで連れてこられて…そして今から、ここで俺に襲われる｣
｢！｣

ごそごそと必死に両腕を動かし、ネクタイがやっと緩んだ。
解けた瞬間に足のロープも解こうと手を動かす。此方は簡単に解け、すぐさま距離を取ろうと後ろへ下がるも既に彼の身体は肉薄していた。


｢やだっ…離してっ…！｣


抵抗するも両手首を掴まれ、頭上で纏め上げられると同時にベットへ縫われるように抑えられた。
脚の間へ割るように身体を滑り込ませ、そのまま押し倒されてしまう。

思考が何から処理して良いのか分からないと悲鳴を上げている。抵抗しなきゃいけないのに、力が上手く入らない。
怖くて、怖くて、ただ怖くて何も出来ない。


｢男ってのは恋愛感情があるにしろないにしろ、抱く相手に好かれていようが嫌われていようが抱けるぐらい馬鹿なんよ。俺もその1人。それなのに力は蹂躙される方より強いし悪知恵も回る。…どう？今から好きでもない奴に抱かれる感想は｣
｢だ、るまさんは…そんな人じゃ…｣
｢…あっはっはっ！いつまで、いつものだるまを信じてる？もういないよ。Aの知ってる俺は｣


かぶりを振り、何度も｢やめて｣と震えた声で否定するが聴いてはくれない。
頬を掴まれ、少しだけ上を向かされる。待ち受けていたのは美麗に整っただるまさんの顔で…あと少しで唇同士が触れてしまうぐらいに顔が迫っていた。


｢俺にとってAは世界一可愛くて綺麗で好きな女なんよ。その人が無防備にどうぞ捕まえて下さいっていうスタンスでいるなら遠慮なく攫うし、Aの良さに気付いてない馬鹿共に気付かれないようにするなら、Aを部屋に閉じ込める。どんだけ泣かれて嫌われて、罵詈雑言を吐かれようとも…俺しか眼中に無いようにする。そんな事、普通無理やと思うやろ？でも出来ちゃうんだよ。沢山の薬で、沢山の脅しで、沢山の快楽で…俺はお前を手に入れる為なら、何だってする｣

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