◇ You mean the world to me 5 ◇ ページ14
後部座席のドアが自動で開くと投げ捨てられるように置かれる。幸い、後部座席の材質が良く怪我や痛みは無かったが安堵のつかの間にグッと足首を押さえつけられるように掴まれた。
座席下からロープが取り出され、何に使われるのか分かってしまった時には遅く、巻きついたロープのせいで足の自由も失ってしまった。
｢あの、だるまさんっ…あのッ…！！｣
｢じゃすぱ、まだおる？俺の車の警護して欲しい。もし警察と出くわしたら悪いんやけどデコイになってくれん？…ありがとな｣
ピッと状況に似合わない軽快な音が途切れると後部座席のドアが閉まり、運転席に回っただるまさんが入り込んでくる。
アクセルを踏むと車は当たり前のように動き出す。座席に寝転んでいるせいか、窓からは何も見えず何処を走っているのかが分からない。
｢だ、るまさん…あ、の、何処に…｣
彼は応えない。応える気が無いのだ。
静寂に包まれる車内はキッというブレーキの音で破られる。
運転席から出て、後部座席に回っただるまさんはびくびくと身体を震わせていた私に自身の赤いスーツを被せ、視界を遮らせたまま、肩に担ぐ。
｢え…どうしたの、だるま。その子って、Aちゃんじゃ｣
｢あっ…あの、じゃすぱーさんっ！た、助けてくださいっ…お願いしますっ！｣
｢今日からうちで飼う事にした。世界で1番大事なもんやから、絶対に逃がすなよ。これは、お願いじゃなくて命令や｣
｢…分かったよ、ボス。ボスがそういうなら｣
バイクで警護をしていたじゃすぱーさんは赤いスーツに包まれて拘束されている私を見て、瞠目したものの彼の一声により一瞬で声音を変えた。
か、飼われる？嘘、だよね？
だって、私の知ってるだるまさんはそんな事言わない。…言わない、よね？
どくん、どくん。
視界が真っ赤に閉ざされているせいか、何処に連れて行かれているのか分からない。彼の付けている香水がふわりと香るも心安らぐことは無く、騒音が聴こえなかった瞬間に室内へ入ったのだと分かった。
｢いやっ、誰か、助けてくださいっ…！お願い、します！｣
室内へ入ると見知った声の持ち主達が困惑を浮かべているも彼を制止する事は無い。無情に響くのは私の助けを乞う声のみ。
｢今から30分。ここに絶対人を通すなよ｣
それだけを言い残し、だるまさんはとある部屋の扉を開く。
｢まって、やだっ、閉めないでッ！｣
叫ぶもガチャリと扉は閉まり、丁寧に鍵まで掛けられた。
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
