◇ You mean the world to me 4 ◇ ページ13
「ん"ッ…！？ん"ッ！！」
口を塞がれたと思考が理解した途端、出鱈目に暴れ出す。
だが、後ろから回された片腕が器用に身体を押さえ込み、一瞬の隙さえ生まれない。そのまま、付近にあった防波堤に上半身を押し付ける。
後ろから襲ってきた人物に頭を回して、睨みつけようとすれば狂気さえも魅入る美しさを放つ黄金色の双眸に射止められた。
一瞬、見せた隙。それを彼は逃さない。
解けかけていたネクタイを指で完全に解くといつの間にか背に纏められていた両手首を縛り上げる。
その間に口を塞いでいた手は離れており、彼の奇行に戸惑いつつも叫ぶ。
「な、何してるんですか？ちょっと…！やめてください！だるまさん！何の悪ふざけを…やっ、やめてっ…やだ、離してッ…！！」
制止の言葉はだるまさんの耳には届かない。
ただ、冷酷に首を刈り取る処刑人のような貌を浮かべ、いつもの人懐っこい笑顔は消えている。
｢だ、だるまさっ……ひッ……｣
彼から放たれる圧は凄まじいものだった。
氷肌に張り付く表情は無であり、問い掛けに揺らぐ事の無い双眸は容易に喉を潰す。
恐ろしくも美しい其の姿は正しく、夜を統べる者の風格を携えていた。
「はっ、ここはええなぁ。近くは閉店した店ばっかしで人はおらん。悲鳴を上げても、助けを呼んでも意味が無い。誰か拉致るには最適過ぎる」
「じょ、冗談…ですよね？だって、だるまさんが…えっ…えぇ…？わ、たし、怒らないですから。そ、の…やめてくださいッ…は、やく…ほど、いて…」
自分でも笑ってしまう程に馬鹿みたいに震えた声しか出ない。
手が震え、肩が震え、足が震え、眼球が震え、脳が震える。
ただ単純な恐怖にひれ伏しているのだ。彼から放たれる抗えようのない畏怖。何もせずとも身体が屈服している。
怯んだ合間にもだるまさんは私を軽々と肩に担ぎ、いつの間にか止められていた黒塗りの高級車へと足先を向けた。
「ほんと、連れ去るにはあまりにも条件が整い過ぎてるなぁ…」
「……あ、…あッ…の！分かりました、もう独りで夜に出歩いたりしないです！だから、お願い、もうやめてください…！」
「…あ、ローレン？今から帰るんやけどどっかマンションにでも登って、警察の動きを見て逐一報告欲しい。…おっけ。すまんな、頼むわ」
いつもなら、目を合わせ、朗らかな笑顔を向け、時折頬の筋肉を異様に緩ませながら応えてくれるのに今は反応すらしてくれない。
私は神の怒りに触れてしまったのだ。
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
