◇ You mean the world to me 2 ◇ ページ11
ギャングの葛葉さんが言うと重みが違うしあまりにも説得力があり過ぎる。
声のトーンも軽い冗談とは思えず、思わず身構えてしまった。
表情が固くなった事に気付いた葛葉さんはピンと伸びた緊張の糸を緩ませるように鼻で笑い、場を和ませる。
…彼なりの優しい警告らしい。やり方がほぼ脅しだが。
「これで分かった?夜にお散歩したいなら気を付けなよ」
「…警告、痛み入ります」
「ボスの女(仮)を1人で帰らすわけにも行かねぇけど、バイクの後ろに乗せると俺がボスに殺されそうなんだよなぁ。さて、どうしたもんか。ま、とりまボスに報告か」
「いえ、独りで帰れますのでそんな」
そんな事をしたら、あの人は来てしまう。
自惚れなんかじゃない。あの人はそういう人なのだと1ヶ月の間でよく分からされているから。
わざわざ、来て送ってもらうなんて申し訳が無さすぎる。
「ん?ん?ん?話聞いてたかな?拉致られてぇの?俺は拉致っちゃってもいいのよ?あんたの事」
「ず、ずるいですよそれ…!ぐぅ…送って、頂けないでしょうか」
「宜しい。指示あるまでは夜のお散歩楽しみましょうかね?俺は護衛って事で後ろ歩かせて貰いますよ。襲われても撃ち殺せるように銃持つけど気にしないで」
いやめちゃくちゃ気にする単語飛び出してきたんですが?
…出る言葉全てが物騒過ぎるんですけどこの人。ギャング過ぎるんだがと思ったがこの人真っ当なギャングだった。
肩に装備された無線で話しながら葛葉さんがバイクを押し、後ろを着いてくる。1度、ギィンッと無線機がハウリングして「うるっさッ!いきなり叫ぶなよ!」と葛葉さんが遠慮なく悪態を付いた。
「ボスが急いで迎えにくるって。後ちょっと怒ってたよ。なんで、外で歩いてんのぉ!?って」
「いやそれは私の自由ですし」
「まぁそれはそう。けど身の危険と自由の比率は同等じゃないから」
葛葉さんの言う通りだ。
この街は自由と危険の比率は同じじゃない。
自由が2なら、危険は8。
どうしても危険の方が勝っている街なのだ。
その危険8の一部が後ろを歩いている訳だが。
「なぁ…うちのボス、嫌い?」
「嫌いではない…と思います」
「じゃ、なんで告白断るの?うちのボス、顔面良いし優しいし金はあるし、あんたにデレデレな一途だし悪くねぇ物件だと思うけど」
「…だから、ですよ。だから、断るんです」
葛葉さんの頭上に浮かんだ疑問符を取る事はしない。
口を噤けば、葛葉さんは何かを察したように天を仰いだ。
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます!こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります! (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです!!更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こりん | 作成日時:2023年10月29日 17時