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「それに…あのふたりも困ってる」
高橋さんが綺麗な顔を傾けて促した目線の先には。
『あ』
ガラスのウィンドウの向こう、カフェの店内。
めいめい手にドリンクを持ちながらも、身の置き場がなさそうにちょこんと並んで座るふたりがいた。
周りの席の女の子たちの熱い視線を受けながら。
それは、どこかにやにやしながらも何度も落ち着かなそうに忙しげに珈琲に口を付ける猪狩くんと、
明後日の方向を見ながらフラペチーノのストローを噛んで、長い脚を落ち着かなそうにゆらゆらさせている作間くんのふたり。
私は一目で察した。
高橋さんのキラキラ笑顔で店内に吸い込まれた女の子たちが、今度は客席の猪狩くんと作間くんに見とれている。
…多分そういう状況。
困ってるふたり。…似たような光景を目にしたなぁ。
「ガリさん、また怖いことになってる気がする、今」
「いや、俺らの経験値がまだレベルゼロだからそう思うだけなんだ。これはさながらRPGの勇者のはじまりの町なんだ、作ちゃん」
「え?!はじまりの町ってこんななの？駅ビルのカフェってこんなに怖いの」
「だよね、無理あったよなやっぱり…よりによって何でこの店女子しかいないんだよ、しょっぱなからラスボスレベルだろ」
注目を受けて困ってる猪狩くんも作間くんも、私と相対しつつもさらっと笑って女子にお手振りしてる涼くんも、
みんなあの白い指定のコートと制服を着て、茶色のバッグを持っている。
今日学校だったのかな。
…もしかして。
「優斗がここでバイトするって聞いてたから様子見がてら来てみたんだ、俺ら」
…もしかして。
勝手にこころが騒ぎ出す。
「さっきまで生徒会の仕事してて、その帰り」
…もしかして。
根拠もないのにもう期待してしまってる、私。
『じゃあ、井上くんも…』
どきどきしながら私の口から出た言葉。
思わずカップを持つ手に力が入る。
みんながいるなら、井上くんも来ているかもしれない。
井上くんに会えるかもしれない。
もっと可愛い服着てくればよかった。
ちゃんとメイクしてくればよかった。
私のばか。
全く予想してなかったけど、会えるかもしれない。
お正月以降ずっとネックレスを見つめては思い出していた井上くんに。
…また、大騒ぎしてる。心臓がどきどきしてる。
でも。
涼くんは15�册�上から私をふわっと見つめて、すこしまゆを下げた。
「瑞稀は、まだ学校。やりたい事あるから先帰ってて、って」
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冷麦(プロフ) - みちゃこさん» みちゃこさん、コメントありがとうございます。好きと言ってくださって嬉しいです！感謝です！ (2020年3月16日 15時) (
レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
みちゃこ(プロフ) - このお話大好きです。これからも更新頑張って下さい！ (2020年3月16日 0時) (レス) id: b50848dd48 (このIDを非表示/違反報告)
冷麦(プロフ) - おかゆちゃんさん» おかゆちゃんさん、コメントありがとうございます！きゅんきゅんしてくださって、素敵な感想を寄せてくださって、本当に嬉しいです…！励みになります！ (2020年2月23日 0時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - こんなにきゅんきゅんするお話に出会えて感動してます（ ; ; ）登場人物全員かわいすぎる…！本当に評価が一度しか出来ないのが悔やまれます(>_<)これからも素敵なお話楽しみにしてます！ (2020年2月23日 0時) (レス) id: a7174925fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷麦
| 作成日時：2020年2月8日 17時
