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作間くんはどこかはにかんで言う。
「食べて、今」
『ありがと…でも私だけじゃ何か悪い…
作間くんの分はあるの?』
「うん、なんか、2個貰って」
ほら。って、もう一つの個包装を指先で持って私に見せてくる作間くん。それは抹茶味で、私にくれたのはイチゴ味。
『…そっちかも、毒入り』
「えー⁈」
『食べてみる?どっちが毒か』
「え、なにそれ怖い、一気に食べるの怖くなった」
笑いながら作間くんはおどけて怖がって見せるけれど。
それは半分本気で、半分冗談。
毒が入っていたらいいのにって。
そう思った。
できれば両方。
そうしたら、このまま時が止まる。
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『「せーの」』
個包装から取り出したチョコレート。
ふたり同時に舌でとかして。
毒入りなんてそんなことあるはずないのに。
…ぱちっと視線が合う。
あの三白眼と。
それはよく知っている、作間くんの目。
すこしきつい三白眼の綺麗な白目。
目頭から続く末広がりの綺麗な二重。
好きだ、って恥ずかしそうに私を見つめた目。
風邪の熱にうかされた私を心配そうに見つめた目。
風邪の熱より燃えていた、
暗闇でもどかしそうに私を見つめた目。
ほんの一瞬だけ時が止まった。
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冷麦(プロフ) - た ぴ お かさん» たぴおかさん、ありがとうございます!て、照れます…!自分で書いたくせに勝手に自分でせつなくなっていた笑ので、コメントいただけて嬉しいです!登録数へのおめでとう、も嬉しいです!本当にありがとうございます! (2019年11月10日 21時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
た ぴ お か(プロフ) - 300人、おめでとうございます。楽しく読ませてもらいました^^ 本当に綺麗な文章で切なさと心地よさを感じれるお話で、読み終わったあとなんだか心が洗われた気分です。これからも頑張ってください、応援してます (2019年11月10日 19時) (レス) id: 1e0918dde4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷麦 | 作成日時:2019年11月9日 11時