私の血は汚い。

9話　　シバ ページ11

【真っ暗で、汚くて、冷たい】





【お前にぴったりの単語だよ】





そう、遠い昔誰かに言われたことがある。


それを聴いたとき、なんだか冬の夜見たいだなぁと思った。





でも勘違いしてはいけない。


だって私と冬の夜は、似ているようでまったく違うものだから。







「_____おい、何をぼーっとしているんだ！この悪魔が！」


次の瞬間、頬に強い痛みが走る。



「っぐ……！」


「ははは、もっと傷つけ！そしたら俺はもっと強くなれる……！」



今日の相手は三十前半あたりの兵士だ。


殴られた頬が熱くなるが、別に気にしない。




だって、もう慣れちゃったから。



毎日毎日、殴られて蹴られて……。


どうでもいい。


全部どうでもいい。



「ああ汚らわしい。お前から出るもの全てが汚らわしい」





そう、私は汚いんだ。



冬の夜は、綺麗で静かで美しい。



私とはまったく違うから。





目を瞑ると、涙があふれてきた。


私は惨めな自分がどうしようもなく嫌い。




「苦しいか？はは、もっと苦しめ！」



私、苦しいよ。



「もっともっと痛めつけてやる！」



私、痛いよ。




私、







私






私……






.








……誰か私を助けてよ。







私の声は、届かない。

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