藍色の誘拐犯 2【神威】

___40話___ ページ8

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神威さんにつられて眠った後、とても怖い夢を見た。
私の目の前で、神威さんが自ら死んでしまう夢。


『ごめんね、またいつか』


その言葉も表情も凄くリアルで、頭を殴られたような衝撃だった。本当にショックを受けた時ってこんな感じなんだって、思うくらい。足に力が入らなくて 膝を着いた場面で目が覚めた。



｢…神威さん｣



目が覚めてもまだ、胸の苦しさと恐怖が取れない。
すぐに飛び起きて隣に居ない彼を探しに行った。



神威｢おはよA。一旦寝たら大分マシになったよ｣



見つけた途端 安堵しても、抱き着いて体温を感じてみても、まださっきの夢が胸につっかえてる。私の様子に｢怖い夢でも見たの？｣と当てられた。



｢神威さんが死んでしまうって思って、怖くてショックで。私が貴方にしてきた事なのに…｣

神威｢あぁ逆の立場の夢を見たんだね。
そうだよー 俺ほんとショックだったんだから｣

｢こんな思い、もう二度と神威さんにさせられない｣

神威｢…そうだね、ありがとう｣



少しずつ気分が落ち着いてきて体を離すと、いつもみたいに微笑んでる。その表情に安心する。



神威｢A、深くは聞かないけど…Aの両親のこと｣

｢え？｣



今まで一切触れられなかった所に 突然話を振られ、驚いた。あまり事情は聞こうとしてこなかったのに、どうしたんだろう。



神威｢良かったの、何も言わずに出てきて。探してたんでしょ？Aの事｣

｢…手紙を置いてきました。次居なくなったら、もう探さないでくれって｣

神威｢でも、｣

｢時には実の親でも、縁を切った方が幸せな事もあるんです。子供は親の所有物じゃない、意思を持った一人の人間だから｣



これ以上は、話を掘り下げては来なかった。
ただ｢そっか｣と 私の言葉が全てだと言うように頷いて、神威さんだけはいつも私を見てくれる。



親の離婚 不仲、虐待、いじめ、借金、ギャンブル、愛情不足とか、そういうのが普通になった世の中なんでしょ。

そしたら私も、世の"当たり前"に分類されて『そのくらいみんな辛いよ』で済まされてしまう。そんな社会が大嫌い。

神威さんだって辛い事あるはずなのに、私を受け止めて、いつも優しさをくれる。誰より強くて綺麗な神威さんが羨ましくて、貴方みたいになりたくて…こんなにも好きでいる。






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