藍色の誘拐犯【神威】

___15話___ 神威side ページ15

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俺のたった一言で大泣きしていたAは、泣き疲れ 腕の中で眠っている。
こんなに安心してる寝顔を、俺は初めて見た。



神威｢いつのまにこんなの見つけたんだか…｣



Aを抱いたまま 床に落ちているカッターナイフを拾い、チチチ と音を鳴らしながら刃をしまう。

死なない程度に腕を切る事に どんな意味があるのかは分からないけど、何がAをそこまで苦しめるんだろうか。



神威｢辛い、か｣



さっきAに言葉をかけて気付いた事がある。

俺もこんな時間が、言葉が、自分に欲しかったのかもしれないって。



ねぇA、頑張ったんだよね 俺達は。

こんなに疲れ果ててしまうくらい。痛みも忘れるくらい必死だった。
辛かったんだ、これ以上ないくらいほんとに、苦しかった。

こんな気持ち、同じところに傷を重ねてとっくに麻痺してた気がする。声を上げて泣くAにつられて泣いてしまいそうだった。




神威｢…死なないでよ｣



｢死｣が日常にある俺は知ってる。どれだけ死が簡単で呆気ないものなのか。

だから押し付けがましくても思う。
生死という一番の自由を奪ってでも、Aには死んで欲しくない。



神威｢なんでこんなに、惹かれるのかなぁ｣



手首の手当てと 包帯を巻き終わると、Aに口付けた。






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