ヒント ページ16
Side.ショッピ
「お目覚めでしょうか」
目覚めると、目の前には執事のようないでたちをした男性が立っていた。
艶が失われつつあるはず白髪は、貫禄のある彼の雰囲気に相応しく、薄く開かれた瞳は優しさを孕んでいる。
「……ここはどこなんですか」
「それは説明しかねます。…ですが、貴方の思うようなものではないでしょう。例えば…そう、悪夢。」
心を見透かしたような彼の言葉に、ショッピの体に力が入る。それでも、ポーカーフェイスは崩さない。
「突然ですが、早急に貴方に伝えなければならないことが二点あるのです。…話を聞いていただけませんか?」
「…質問は?」
「申し訳ございませんが、お答えする事は出来ません。…私には、時間がないのです」
ショッピは暫く男を見つめた後、小さく息を吐いた。
「……手短にお願いします」
「承知しました」
男はそう言うと、右手の人差し指を立てる。
「まず、一つ目。四時までには必ず脱出して下さい」
脱出……零柁小学校の事だろう。何故四時なのかは分からないが、質問に答えて貰えないのだ。黙って聞いているしかない。
二つ目。と、男は指を二本立てる。
「6-1の教室に入って下さい。きっと貴方達の助けになる筈です。……私に伝えられる事は以上になります」
「……そうですか。最後に一つ聞きたいんですけど、
アンタ、何者なんすか」
「……ただのしがない執事ですよ」
彼がそう呟くと同時に、ショッピが宙に浮く。刹那、空間が崩れ、ショッピの体は奈落へと放り投げられた。
*****
次に目覚めると、目の前に居たのは執事……では無く、ショッピの顔を覗き込むチーノとエーミールだった。
「ショッピ君!」
エーミールに支えられながらゆっくり上半身を起こすと、チーノがショッピに話かける。
「……どうしたんすか。塩酸ぶっかけられたみたいな顔して」
「いやどんな顔やねん。…って、それよりも大丈夫なんか?辛そうな顔してると思ったら急に倒れて…ってエミさんに聞いたんやけど」
「あー、急に頭痛くなって……でも今は大丈夫ですよ。ほら」
そう言ってショッピが立って見せると、二人は安堵の表情を浮べた。
「まあ、次は何かあったら早めに言って下さいね」
「善処します。…そういえば、寝てる時になんか変な夢?を見たんですけど」
「…例の悪夢か?」
顔を顰めるチーノと悪夢?と疑問符を浮べるエーミールに、ショッピは頭の隅で要点をまとめながら説明を始めた。
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楼(プロフ) - ただの黒砂糖さん» おめでとうございます!! (2020年7月18日 23時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 10000hit………え??うせやろ??? (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 楼さん» ちょっとヒント与えすぎたかなHA☆HA☆HA……コメントありがとうございます(賢者タイム) (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
楼(プロフ) - sn君よ…君が鬼なったこともお兄ちゃんが誰なのかも丸わかりだ (2020年7月18日 20時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 114514さん» 読まれていた…だと……!?あ、コメントありがとうございます。 (2020年7月3日 18時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ただの黒砂糖 | 作成日時:2020年4月19日 13時