12話 マネージャー組 ページ12
合宿の件が話題に挙げられてから、愛莉はずっとそのことについてしか聞かなかった。
「運動部の合宿って、何をするんですか?」
「基本的に私達の仕事は変わらないよ。部員のサポートとか、場合によっては記録取ったりとか。選手の練習メニューはその場所に合ったのを考えるけどね」
「そうなんですか。私、小学校の行事以外で家族以外の人と泊まったことがないので、楽しみです」
「……」
「へえ、意外かも」
恐らく一軍のマネージャー同士は必然的に同じ部屋割りになるだろう。悪いが好き勝手にはさせない。桃井は優しいが、私は優しくない。
そもそも、何故彼女は一軍担当なのか。
私達マネージャーは、基本入部は自由だ。特別知識が必要な訳ではなく、きちんと雑務をこなせるかが入部の決め手であった。
私の場合は、今程と言っては失礼だがそこまで男子バスケ部が注目されている状況ではなかった。勿論、各大会で名を残しているのは変わらなかったが、彼等が『キセキの世代』なんて呼び名が付けられる前だったため、割とスムーズにマネージャーになることが出来た。
ちなみに私がマネージャーになった理由は、単純に『楽そう』だったからである。
当初は誰がバスケ部にいるかなんて知る由もなかったし、全員強制でどこかの部活に入部しなければいけなかったので、何も知らない私は軽い気持ちで入部希望の紙を提出した。
その数日後、マネージャーは見た目以上にかなり大変な役回りと嫌と言う程知ることになったが、今の話には関係ないことである。
一応、今年のマネージャー希望者を説明しておくと、ザッと見ただけでも三十人弱はいた。
さすがに全員は無理だったので、ある程度の人数まで絞り、後は顧問の先生が割り振りをした。入部したから必ずしも一軍にいけるとは限らないのだ。
……だから嫌だった。
「愛莉ちゃんて、料理出来るの?」
「うーん、普段はあまり作らないですけど、簡単なものなら作れると思います」
「そっか。じゃあ、私達で夕飯作ってあげようよ!」
「良いですね、それ。楽しそう」
「却下」
「ええー?」
気が付いたら私の知らないところで物凄く怖い話をしていた。桃井は不満そうに顔を膨らませ、愛莉は不思議そうな顔を向ける。桃井だけは味方だと思っていたのに。
「駄目なものは駄目。黒子達がさつきの作った料理で倒れたらどう責任取るの」
「む……Aちゃん直球過ぎ!」
本当に、冗談抜きでこれだけは阻止しなければならない。
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翡翠(プロフ) - 七奈那さん» コメントありがとうございます!返信が遅くなってしまい本当にごめんなさい!面白いといって頂けてとても嬉しいです。最近忙しくて全く更新できていませんが、早く続きを作るようがんばります! (2020年3月4日 0時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
七奈那(プロフ) - いいお話ですね。とても面白いです。早く続きが読みたいです!応援してます。完結するのが楽しみです (2020年2月11日 17時) (レス) id: 98ad0ce5fe (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 花音さん» コメントありがとうございます。この作品を読んでもらえてとても嬉しいです!最近更新できていなくて本当にごめんなさい。私も完結させたいので、また近いうちに更新できるよう頑張ります。引き続きよろしくお願いします。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
花音 - 作品読ませて頂きました。凄く面白いですね。もう更新なさらないのですか?できれば完結させて欲しいです。待ってます (2019年11月6日 21時) (レス) id: ac5c9fd8b6 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 黛夕那(#・∀・#)さん» コメントありがとうございます!読んでもらえてとても嬉しいです!なるべく早く更新できるように頑張りますね! (2019年9月1日 11時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年12月23日 16時