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36話 マネージャーの仕事 ページ37

「よーし、そうと決まれば早速やりましょうか!」

静香が元気よく言った。しかし私は何をすれば良いのかわからず、困惑しながら桃井の服を引っ張った。桃井は考える素振りのまま、自然と上を見上げた。つられて私も上を見る。

「うーんとね、一言でマネージャーの仕事って言っても、色々あるんだ」

「普段は何をしているの?」

「部室の掃除とか、洗濯でしょ。あとドリンクを作ったり、試合の記録を取ったり……とかかな?」

「……私、全部やれる自信がない」

「え?」

私の答えが予想外だったのか、二人は驚いたようにこちらを振り返った。

正直な話、自分の部屋の掃除すらまともに行った試しがないのだ。そもそも、一日に一回のペースでお手伝いさんが部屋の掃除をしてくれるため、わざわざ自分でやる必要がなかった。

多少の物の整理くらいならさすがに出来るだろう。多分。

基本家事は、殆ど母に任せっきりだった。ましてや洗濯なんて、今までの人生で一度もしたことがない。

「まさか。やっぱりお金持ちの家は違うね……」

「え、A先輩の家ってお金持ちなの?」

桃井が半ば感心している隣で、私の家の事情を一切知らない静香は、私達の顔を交互に見ながら聞いた。

家がお金持ちなのが関係あるかわからないが、また下手なことを言ってはいけないと思い「……少し、だけ?」と曖昧な返事を返した。

静香はあまり深く考える様子を見せず、そうなんですか!と率直な感想を述べていた。

「……じゃあ、無難に掃除から始めてみようか」

「う、うん」

掃除からと言われ、少し緊張する。恐らく、どれを選択しても上手くいく保証がないことに変わりないけれど。

「ならその間、私隣室でドリンク作っておきますね!」

「ありがとう静香ちゃん。私達も終わったらそっち手伝うね」

「了解しましたー!」

そうこうする内、話は瞬く間に進んでいき、私は促されるままバスケ部の部室へやって来た。体育館を出る途中、ふと思ったことがある。



……これ、もう完全にバスケ部のマネージャーになる前提で話進んでいるよね?

予想や推測ではない、小さな確信であった。

しかし、その事実に気付いたところでもう遅いのは自分が一番理解している。私の性格上、今更「無理です」なんて言える度胸がないことを。

37話 不器用な彼女→←35話 一応先輩と後輩



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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時

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