23話 いつの間に? ページ24
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体育の授業も無事終わり、今は休み時間だ。
赤司征十郎は、目の前に映る光景にただただ圧倒されていた。
「……でね、この前凌兄が大学に連れて行ってくれて、特別に中を見せて貰ったんだよ!」
「へえー。お兄さんって、昨日来てた眼鏡の人だよね?凄い、お医者さん目指してるんだ」
「うん。凌兄はね、本当に何でも出来るの」
「Aちゃんも大体のことは楽々こなしそうだけどね」
「ううん、私、不器用だからいつも皆に迷惑掛けちゃうんだ。この前も、あーちゃんとケーキを作ろうとしたらね……」
嬉々とした様子で話すAとそんな彼女を微笑ましげに眺める桃井の組み合わせは、何とも違和感があるようでなかった。
しかし……状況が理解出来ない。目の前で桃井と話しているのは、本当にAなのか。
あの、自己紹介の時に最後噛んだ?
相手と五メートル離れていないとまともに喋れないと言っていた?
人前だとすぐに赤くなる彼女が?
何故、急に桃井と親しくなっているのだろう。
「……どうしたの、赤司君。顔怖いよ?」
桃井が赤司の顔を覗き込みながら言った。いつの間にか、自分でも無意識のうちに真顔で二人を見ていたらしい。Aも話を止め、赤司の方を不思議そうに見つめた。
「……いや、何でもないよ。ただ、二人が急に親しく話していたから少し驚いただけだ」
「え?ああ」
桃井とAは顔を見合わせる。少し間を置いた後、桃井が口を開いた。
「私達って、お互い女の子の友達が出来るの初めてなんだ。ね?」
Aも同調するように頷く。
「だから、何かと共感することが多くて。すぐに話も合ったし、私の方から友達にならない?って聞いて……」
「……うん」
「それで仲良くなったのか」
赤司の言葉に、桃井は突然前のめりな体勢になって言った。
「そうなの!Aちゃん超人見知りだけど、話してみると結構可愛いところが多くてさあ」
「さつきちゃんの方が可愛いよ!それに私なんか、まだ他に話せる人がいないし……」
再び会話が盛り上がり始めた二人の様子を、赤司は何も言わずただ見つめていた。
Aに早速友達が出来たことに安心しつつも、それに対してどこか不満気な自分がいた。何故だろう。単純に彼女がこんな
……まあ、そんなことでいちいち気にする必要はないか。
自分がAに振り回されていることも知らず、赤司は一人納得したように微笑んだ。
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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時