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6話 犀川兄妹と教室 ページ7

「……それで、こちらが理科室や木工室などがある建物。あっちには職員室に会議室、図書室やコンピュータ室があって、この階の突き当たりが音楽室になっているの。因みに、これから行くAさんの教室があるのは、この建物の二階ね。どう?覚えたかしら」

「はい。全て覚えました」

凌介が、何も言わない私の代わりに答えた。桐島先生は、少し困惑した顔で凌介を見る。

「いえ、Aさんの方は……」

「Aは、僕より記憶力が良いですから。ちゃんとわかっていますよ。な?」

私は、凌介と未だに手を繋ぎながら、小さく頷いた。先生は一瞬目を瞬かせたが、「なら安心ですね」と言って微笑んだ。

「うちのクラスは、皆良い子たちばかりですから。Aさんもすぐに慣れると思いますよ」

「はあ、そうですか……」

凌介が曖昧に答える。そして、ふと何かを思い出した様子で、遠慮がちに聞いた。

「あの、因みに先生のクラスに、赤い髪をした生徒っていらっしゃいますか?」

先生は、何故そんなことを聞くのかと不思議そうに首を傾げた。

「赤い髪の生徒?……確かにいますけど、その生徒が何か?」

「本当ですか!?」

偶然だ。……否、偶然にしては出来過ぎている。恐らくは父が、私と同じクラスになるように裏で上手く言ったのだろう。

「もしかして、その生徒とお知り合いとかですか?」

「えっ、ま、まあ、少し……」

凌介は語尾を濁した。

それにしても、と桐島先生は嬉々とした目で私達を振り返った。

「お二人は、あの犀川グループのお子さんなんだそうですね。確かに、どこか上品な感じはしていましたけど……」

「……あ、はは」

凌介は何と返事を返せば良いのかわからず、安定の愛想笑いでその場をしのいでいた。その傍らで、私も複雑な感情を抱きながら先生の後ろ姿を盗み見る。

でもこの先生、何気に良い人そうだな……。

「……さ、着きましたよ」

廊下の突き当たりにある教室の前で止まる。扉の上にある「二年一組」と書かれたプレートが目に入った。

「ここか……」

そう呟いた凌介を見ると、自分の中学時代を思い出しているのか、懐かしそうな表情をしていた。

「じゃあ、私が合図したらAさんは前の扉から出てきてくださいね」

「……」

私は答えなかった。それでも、桐島先生は案の定微笑むと、一人教室の中に入っていった。

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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時

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