2話 兄と私と中学校 ページ3
父から中学校入学の件を宣告され、数日後。
……私は今、何をしているのだろうか。
数年振りにちゃんと家を出て、ちゃんとした服を着せられ、何処へ行くかも明確に聞かされぬまま、私は無理矢理車に乗せられた。
何処かの制服、と言うことだけは知っていた。事前に、今日から中学校に通うと伝えられていた為だ。勿論言われた直後は猛反対したが、両親含め兄姉達にまで説得され、気が付いたら促されるままに動いていた。
自分より年齢が上の者の言ったことは絶対なのだ、我が家の家族内のルールでは。因みに、私はその中で一番下であった。
「……ほらA、着いたぞ」
「……」
そして今、私は門の前に立っている。帝光中学校、と書かれているのが目に入った。外見を見る限り、他の中学校よりは設備がしっかりしているようだ。何より、校舎自体が大きかった。
白い制服に身を包んだ私は、今日既に何十回目かになるであろう溜め息を付いた。
「どうした、A。さっきから溜め息ばかり付いているが」
「……
私の隣には、今日家族内で唯一何も予定が入っていなかった兄、凌介の姿があった。勿論私が無理矢理連れて来た。因みに、運転をしてくれたのも凌介だった。
「……だって」
私は凌介にもたれ掛かる。
「良い機会じゃないか。これで、お前の極度の人見知りも克服できるんじゃないのか？」
「無理無理無理無理。何年他人と話していないと思ってるの？四年だよ？もうどうやって話すかも忘れちゃったくらいだもん」
「そこまでいっていたら逆に凄いな」
凌介は静かに私を引き剥がした。私は盛大に溜め息を付く。
「……今からでも、家に帰っちゃダメ？」
「駄目だろうな。仮に俺が了承したとしても、父さんが決めたことだから。逆らえないことは十分承知の上だろう？」
「わかってるよ、それくらい。でもさ……」
「だったら、つべこべ言わず大人しく学校に通うことだな。それに、Aが思っているよりはそこまで辛くないと思うけれど」
あっさりと、凌介は私を突き放した。可愛い妹が言っているんだから、少しくらい味方についてくれても良いのに。私の心は、みるみるうちに萎んでいく。
「……イヤだ。学校嫌いだもん。人多いとこ無理だもん」
私は、凌介の腰辺りに抱き着いた。凌介は、僅かに困惑したように眉を寄せた。
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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します！ (2018年11月3日 23時) (
レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください！ (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます！これからももっと面白くしていきたいと思います！頑張りますね！ (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です！！夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます！！これからも更新頑張ってください！！ (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね！ (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2018年7月12日 19時
