今宵は月が赤いですね。霞ノ章

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◇◆◇




『………』


「………」




寝静まった車両の中、２人だけ。
私とむいくんだけが意識があった。




「君、誰だっけ」


『Aです。
霞柱様、早急にお願いがあります』


「ああ、君が……。
戦略と君の事は今日お館様から聞いた」


『なら、策を追加です。
これは睡眠薬。飲んで下さい』


「どうして？」


『鬼を騙さないと先に進めませんから。
目覚める時間は計算してるから安心して下さい』




むいくんが目を閉じたのを確認して、
私も瞼を下ろした。



もうすぐ戦いが始まる。

私に守れるのか、やれるのか。
何度も考えた。これが正しいのか。

原作を潰してもいいのか。
もっといい道はなかったのか。


だけど、考えたって仕方ない。
私は私のやり方で、皆を救う。



それだけだ。









睡眠薬作戦は成功に終わった。
上手いこと夢が見れたから、女の子たちもうまく騙せたし。




『霞柱様、起きてます？』


「うん、で、次は？」


『炭治郎が間もなく起きます』




話しながら、それぞれが【繋がっていた】少女たちに手刀を食らわせた。
車内では兄貴が既に少女の首を絞めていて、
禰豆子が炭治郎に血を纏わせている。




「だぁぁぁぁぁぁぁっ！！！」




残る少年たちを気絶させ、
３人で役割を軽く分担する。




「俺は上を見てきます」


「僕は車両の様子を見てくる」


『私は禰豆子ちゃんと残りますね。
炭治郎、あまり深追いはしない事。
伊之助と合流でき次第、頸を狙って』




現在私達がいる車両を見ている感じ、
鬼の肉塊などは目立っていない。
だけど、すべての車両がどうかは不明だ。

でもむいくんが加わったおかげで、
情報の共有が早くなることは予想できる。

皆が体力を温存できる期待が高まる。




『禰豆子ちゃん、できる範囲で皆を燃やして』


「ムーーッ！」




可愛すぎかよ禰豆子ちゃん。
令和の鬼滅ファンからしたら超眼福だ。


映画で炭治郎起こそうとする所くそかわだった。むっ！って怒ってたアレ。かわよ。




「猪突猛進！伊之助様のお通りじゃアアア！」




伊之助・爆裂覚醒。

原作通りのド派手な天井破壊で上昇。
そろそろ乗客を守らなきゃ。

煉獄の兄貴もそろそろ起きるだろうし、
ここは禰豆子ちゃんに任せるか。




『もうすぐ兄貴も起きると思う。禰豆子ちゃんは燃やしてて？』


「ムーッ！」




愛刀に手を掛け、移動を開始する。
伸びる肉の塊を斬り裂いていく。









長い夜が、幕を開けた。

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