10 ページ14
◇◆◇
例え偽物でも本物でも、
しのぶさんの笑顔は本当に綺麗だ。
「……分かりました」
切なそうな顔で、答えてくれた。
本当はカナエさんに会いたいだろうな。
『すみません、出すぎた真似をして。
治療して頂いてありがとうございました』
「…あっ、少し待ってください!」
『…何か?』
急がなきゃ余計な事も話してしまいそうだから早くどこかに行きたい。
「会って行ってくれませんか?
私の継子と、その同期の子達に」
『いいんですか!?』
「はい、勿論です。
貴女ならきっと、あの子を変えられる」
【あの子】っていうのはカナヲかな。
そこも私が変えちゃいけないんだがな。
カナヲを変えるのは炭治郎でないと。
炭カナは公式だっ!!!
「案内しますね。こちらへ」
『有難うございます、しのぶさん』
「いえ、お礼を言うのは私の方です。
貴女のお陰で心が軽くなった。
私でも良いのかって思えたんです」
『…しのぶさんは、しのぶさんです』
「ふふっ、そうですねぇ」
伝わってほしい。貴女はしのぶさん。
カナエさんじゃない、1人の女の人だ。
「カナヲ、カナヲ、いますか?」
『…はい、師範』
しのぶさんが木製のドアを叩けば、
掴み所のない可愛らしい声がした。
「貴女に会わせたい方がいます。
出てきてくれますか?」
少したって、ドアが開く。
いつも見ていたサイドテールが揺れた。
『こんにちは、カナヲちゃん。
同じ鬼殺隊のAって言います』
「……」
「すみません、Aさん…この子は…」
『はい、事情は何となく知ってますよ』
カナヲが銅貨を取り出し、小さく弾く。
彼女の手の中に表向きに収まった。
「栗花落、カナヲ…」
消え入りそうな小さな声だけど、
私としのぶさんにはちゃんと聞こえた。
「カナヲ……」
『ねぇカナヲちゃん、今暇?』
「…うん」
またもや銅貨が宙を舞った。
今度は裏向き。
『じゃあ少し私とお話ししようよ』
「行ってらっしゃい、カナヲ」
「はい、師範」
カナヲちゃんの手をとって庭に出る。
列車編前の炭治郎との名シーンの場所へ。
『カナヲちゃん。話は2つあるの。
1つ目。しのぶさんの傍にいてあげて。
離れないでほしいの。後悔は一瞬たりとも感じてほしくないから』
もう別れは必要はないと思うんだ。
たくさん苦しみがあったんだから、最初から最後まで幸せでいてほしいの。
114人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さつむいこん(プロフ) - 楪日織さん» もう26位まで落ちてるわ…、見たかったな。忙しいのにわざわざ報告ありがとう〜! (2021年7月1日 21時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 鬼滅タグランキング今1位だよすごい……!おめでとうさつむいこん!! (2021年7月1日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 私にとってはハイキュー!!さんが優しすぎて尊いです。ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 尊さの塊ですね! (2021年6月15日 19時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - さつむいこんさん» こちらこそ!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月28日 16時) (レス) id: d652f69505 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年2月7日 8時