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「あら、貴女は……」
『その節はお騒がせ致しました』
「いえ、お館様のご決定なので」
蝶屋敷にて、しのぶさんと
存在が馬鹿な私とは対照的だ。
神々しい…。
「あら、怪我ですか?こちらへどうぞ」
『早朝からすみません…』
診察室に通されて、
しのぶさん自ら傷を見てくれた。
幸い血鬼術も問題なく、
正真正銘ただのひっかき傷で済んだ。
「Aさん、少しお時間よろしいですか?」
『はい。どうされたんですか?』
この数分で何かやらかしたのだろうか。
彼女が怒ると怖い事は重々承知済。
……冷や汗出てきたんだが。
「大丈夫ですよ、取って食ったりしませんから。お話を聞きたくて」
『話、ですか?』
「はい。鬼を庇った事についてです」
ここでようやく察しがついた。
この後は私は返答してはいけない。
確かに私は原作を変えにやって来た。
だけど炭治郎や他のキャラの成長のきっかけは潰しちゃいけない。私が変えるのは、あくまで誰かの死の瞬間だけだ。
「…貴女は何故、あの鬼の子を庇ったのですか?」
『なんとなく、です。
あの子は無害。勘がそう反応した』
「勘だけで判断したんですか?」
『いえ、それだけではありません。
炭治郎くんが物凄く優しかったから。
そんな人が裏切るわけがない、と』
しのぶさんはまだ何か聞きたそうだったけど、これ以上長居するとまずい。
一刻も早く退散しなければ。
『炭治郎くんにも聞いてみて下さい。
あの人が何故鬼と行動を共にするのか』
月夜の蝶屋敷の屋根で、
2人が話すあのシーンは消したくない。
『きっと、救われると思います』
「…貴女は、何を知ってるんですか?」
その声に、怒りの感情はなかった。
私の存在に対する純粋な疑問だろう。
『へへ、何も知りませんよ。
鬼の情報なら知ってると思いますが。
追々、必要な時に必ずお伝えしますね』
まだ言うべきでないことは言わない。
原作はどうなろうと原作で、
必要以上に掻き回すものでもないから。
「…そうですか」
『でもお話しできて良かったです』
「ふふ、私もです。またいつか、ね」
『…そうですね』
にっこり笑うしのぶさん。
その体は既に毒に蝕まれてるんですか?
今の笑顔もきっと偽物だ。
『ねぇ、しのぶさん』
「なんでしょうか?」
『死なないで下さいね。
貴女を必要とする人の傍に、いてあげて下さい』
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さつむいこん(プロフ) - 楪日織さん» もう26位まで落ちてるわ…、見たかったな。忙しいのにわざわざ報告ありがとう〜! (2021年7月1日 21時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 鬼滅タグランキング今1位だよすごい……!おめでとうさつむいこん!! (2021年7月1日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 私にとってはハイキュー!!さんが優しすぎて尊いです。ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 尊さの塊ですね! (2021年6月15日 19時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - さつむいこんさん» こちらこそ!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月28日 16時) (レス) id: d652f69505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年2月7日 8時