検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:85,270 hit

09 ページ13

◇◆◇




「あら、貴女は……」


『その節はお騒がせ致しました』


「いえ、お館様のご決定なので」




蝶屋敷にて、しのぶさんと謁見(えっけん)
存在が馬鹿な私とは対照的だ。

神々しい…。




「あら、怪我ですか?こちらへどうぞ」


『早朝からすみません…』




診察室に通されて、
しのぶさん自ら傷を見てくれた。

幸い血鬼術も問題なく、
正真正銘ただのひっかき傷で済んだ。




「Aさん、少しお時間よろしいですか?」


『はい。どうされたんですか?』




この数分で何かやらかしたのだろうか。
彼女が怒ると怖い事は重々承知済。

……冷や汗出てきたんだが。




「大丈夫ですよ、取って食ったりしませんから。お話を聞きたくて」


『話、ですか?』


「はい。鬼を庇った事についてです」




ここでようやく察しがついた。
この後は私は返答してはいけない。


確かに私は原作を変えにやって来た。

だけど炭治郎や他のキャラの成長のきっかけは潰しちゃいけない。私が変えるのは、あくまで誰かの死の瞬間だけだ。




「…貴女は何故、あの鬼の子を庇ったのですか?」


『なんとなく、です。
あの子は無害。勘がそう反応した』


「勘だけで判断したんですか?」


『いえ、それだけではありません。
炭治郎くんが物凄く優しかったから。
そんな人が裏切るわけがない、と』




しのぶさんはまだ何か聞きたそうだったけど、これ以上長居するとまずい。

一刻も早く退散しなければ。




『炭治郎くんにも聞いてみて下さい。
あの人が何故鬼と行動を共にするのか』




月夜の蝶屋敷の屋根で、
2人が話すあのシーンは消したくない。




『きっと、救われると思います』


「…貴女は、何を知ってるんですか?」




その声に、怒りの感情はなかった。
私の存在に対する純粋な疑問だろう。




『へへ、何も知りませんよ。
鬼の情報なら知ってると思いますが。

追々、必要な時に必ずお伝えしますね』




まだ言うべきでないことは言わない。

原作はどうなろうと原作で、
必要以上に掻き回すものでもないから。




「…そうですか」


『でもお話しできて良かったです』


「ふふ、私もです。またいつか、ね」


『…そうですね』




にっこり笑うしのぶさん。
その体は既に毒に蝕まれてるんですか?
今の笑顔もきっと偽物だ。




『ねぇ、しのぶさん』


「なんでしょうか?」


『死なないで下さいね。
貴女を必要とする人の傍に、いてあげて下さい』

10→←08



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
114人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 市販書き(二次創作)   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さつむいこん(プロフ) - 楪日織さん» もう26位まで落ちてるわ…、見たかったな。忙しいのにわざわざ報告ありがとう〜! (2021年7月1日 21時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 鬼滅タグランキング今1位だよすごい……!おめでとうさつむいこん!! (2021年7月1日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 私にとってはハイキュー!!さんが優しすぎて尊いです。ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 尊さの塊ですね! (2021年6月15日 19時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - さつむいこんさん» こちらこそ!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月28日 16時) (レス) id: d652f69505 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年2月7日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。