15話【死者少数】 ページ17
｢本部に黒トリガーが侵入するんですか！？｣
『あぁ。そんでお前が本部に着いたら、本部にいる人達を守って欲しいんだ』
本部まであと3分程で着く頃、迅さんに連絡した。
その時の通信で初めて知ったのだが、本部に黒トリガーが迫ってきているらしい。
｢……もし私が行かなかったら｣
『今本部にいる従業員の何人かが死ぬことになる』
｢そういうことなら、というかもう着くんですけど｣
『おう、助かる。 もうそろそろ来るはずだから、よろしく！』
｢はーい……もしもし宇佐美先輩、風間隊が相手した黒トリガーの詳細って出てます？｣
迅さんとの通信が切れると、すかさず宇佐美先輩に連絡した。
『あるよー！ 今送るね』
｢ありがとうございます！｣
すると視界の隅には、黒トリガー使いと風間隊が現れた。
相手の能力は、まだきっちり分かっていないらしい。
つまり炸裂弾が適任だろう、設定していてよかった。
そんなことを考えている時、ドガンっと大きな音がした。
コンクリートが砕けるような、大きな音だ。
｢黒トリガー！｣
その音の方へと全速力で走る。
音はすぐ近くにある為、あっという間にその場所へ着いた。
そこには、黒トリガーと襲われている職員達がいた。
怪我をしている人、死んでいる人……まだ何人かが死んでしまうかもしれない。
推測だが、これ以上人は死なないのだろう。
迅さんは死者を減らすために、私を本部へと向かわせたのだ。
｢狙うのはこっちだぞ、人型！｣
目の前の人型に向けて弾を撃つ。
弾は全て人型に刺さった。
｢ボム、起動！｣
人型のまわりは次々と爆発する。
爆発の煙に紛れて、開けた場所に向かう。
するとそこに、逃げない人影が見えた。
｢……諏訪隊！｣
｢よお什得、本部に通信繋げろ｣
諏訪さんが耳をトントンと叩く。
そろそろ現れる人型を諏訪隊に任せて、私は隠れて通信を繋げた。
｢あ、そういえば本部内でした。……什得、本部に現着致しました｣
『把握している。什得隊員はこのまま諏訪隊の援護をしてくれ』
聞こえた声は忍田本部長だった。
｢了解｣
私はすぐに諏訪隊を追いかけた。
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作者名：宗 x他1人 | 作成日時：2021年2月15日 23時
