14話【1人戦線】 ページ16
私はそこそこ本部に近い位置にいる。
でもそこそこで、近いという訳では無い。
トリオン体だからこそ為せるスピードであって、普通なら徒歩1時間でもいいとこだ。
「……」
ぐるりと辺りを見渡して、敵がいないか確認する。
本部近くは比較的、トリオン兵が少なかった。
それでも元の数が多く、道中何匹もトリオン兵は現れていた。
もう数分で到着する頃……
「新型だ」
気付かれていない。
それだけで有利は取れる。
小南先輩は余裕で勝てたらしいので、私もそれなりにはすぐに倒せるだろう。
1対1だ。
今、最も恐ろしいのは長期戦になってトリオンをたくさん使うこと。
本部に向かうまでにトリオンが切れれば、迅さんが言っていたブラックトリガーの相手もままならなくなるだろう。
「つまり、奇襲で大ダメージを……与える!」
新型に銃口を合わせて、狙い撃った。
そしてその剣のような弾が新型の腹に突き刺さった。
風間隊の菊地原が材質、装甲の硬さをサイドエフェクトで見抜いた(耳だが)そうで、数十分前に本部から情報は貰っていた。
つまり、私は腹を捌けばいい。
既に準備は整った。
「ウエート、オン!」
すると刺さっていた剣は、少し多めに入れたトリオンの分肥大化し、新型の腹はぱっかりと開いた。
中に何もないのを確認すると、その腹の中に向かって何発か打ち込む。
内側から背中に刺さった弾はダメージが少ない様だ。
やはり背中の装甲は硬い。
新型は痛くも痒くもないようで、突然現れた私に襲いかかる。
「ボム起動!」
その掛け声と共に、新型は爆発した。
中にあったボム弾が炸裂したのだ。
新型の胴体はもう形も残らないほどにボロボロな姿だった。
見た感じ、やはり1発や2発では足りないだろう。
私は宇佐美先輩にもう一度連絡をした。
「宇佐美先輩、新型倒しました。
中からボム4発か5発ぐらい爆発させれば、粉々になります。小南先輩、炸裂弾持ってましたよね」
「おっけー、でかした羽ちゃん! 伝えておくね」
「ありがとうございます! 私はこのまま本部に向かいます」
通信を切ってそのまま本部へ走り続けた。
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名無しのしらゆき(プロフ) - 友人に編集を任されました。 奴は話を考えるだけなのと、基本シャイなので私が代わりに返信などを打ち込みます。 奴が返信した際は遠慮なく褒め潰してやってください。よろしくおねがいします。 (2021年2月15日 23時) (レス) id: 9ad50e2ee7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宗 x他1人 | 作成日時:2021年2月15日 23時